需要側の視座で情報伝達。UXをキーにリファインさせたい

2017.06.23

UX、デマンドサイド、コト消費に物語。リファインや全体最適で何をしたいのか、何度目になるか分からないけれども、キーワードを組み立て直して、改めてアウトプットしてみる。

この記事は 約 12 分で読めます。

, , ,

最初はどうしても、「供給側の都合」で始めてしまう

「俺の考えた商品」とかサービス、あるいは「自分が見つけた最適解」みたいなものとか、「僕のスキルですごいことができるんだ」とかで事業を始めてしまう。というか、それがないなら多分商売は始められないと思う。事業を始める前の経験を活用したり、形としての市場調査をしていたり、販売計画なんかを立てていたりするのだろうけど、その通りに行くか行かないかはやってみないと分からない。だから、やってみる。

やってみて、上手くいくかどうかを時にPDCAを回しながら、時にデータを取りながら、時に経験と勘と思いつきとで取引や売上に結びつけていけたらいいのだけれども、必ずどこかで成長の鈍化が始まる。もしくは、成長すらせず最初から失速する、とか。(それでも、スタートダッシュから2年ぐらいは伸びるかな?)

自分から見た視座で、あれこれやってみる。上手くいかないから、本やセミナー、専門家に当たってみて、言われた通りに手法に切り替えてみる。少しは伸びるのだけれども、だんだん自分たちの独自性が薄まって行ってしまって、今までの顧客も離れ始めてしまう。自分たちの本来の売りはなんだったかを見失いながら、周りの人に聞いて素直に方向転換できればいいけれども、それでも上手くいくとは限らない。

そのうち、「このままではダメだ」と河岸を変えたり、商材を変えてみたり。一緒に組むパートナーを変えてみたり、そもそもの業種をガラッと変えてみたりして、どんどん負のスパイラルに突入していく。本当にそれで良かったのか、見直す機会がないままドツボにはまってしまうのだろう。

かくいう自分自身も、多分どこかの地点に立っているだけで、偉そうに言えた口ではない。自分のことを客観的に見て、残す部分と捨てる部分とをきっちり分別するなんていうのは、なかなか難しい。ただ、それでも人に対しては「UX」だ、「需要サイドからの全体最適が鍵だ」といってみようと思っている。

需要サイドからの全体最適、UXを軸にしたリファインを実は見たことがある。

この「需要サイドからの全体最適」もしくは「リファイン」をかけた事例。自分の好きな「特撮ヒーローもの」から2例取り上げることができる、と気がついた。それは、『ウルトラマンティガ』と『仮面ライダークウガ』の2本。どちらも、各々の「平成シリーズ」、そして「シリーズ全体」を再起させたエポックメイキングなシリーズだ。

「ウルトラ」も「仮面ライダー」も、何度か断絶を繰り返しながら、長年のシリーズを保ってきた。でも、小さなテコ入れをいくらやっても、鳴かず飛ばずの時期があった。大きく売上を上げたとは言い難いシリーズが、昭和から平成にかけて生まれたりしている。ウルトラマンで言えば、『ウルトラマングレート』や『ウルトラマンパワード』あたり。仮面ライダーで言えば、『真・仮面ライダー序章』や『仮面ライダーZO』の頃とか。

どちらも、それまでのシリーズから言えばかなりテコ入れが入った作品のはずなんだけれども、いかんせん「リファイン」や「イノベーション」というには小幅なテコ入れになってしまっていて、「過去の遺産」や考え方を完全に払拭するには至れなかった。「我々のシリーズはこういうものなんだ」と概念から、「ウルトラ」や「仮面ライダー」ですら抜け出すことができなかった(時期があった)。天才的なクリエイターが多数集結していて、決して駄作ではなかったであろうコンテンツを生み出しているシリーズで。

でも、そんな両シリーズを何とかして、新しい命を吹き込んだのが前出の『ティガ』や『クウガ』になる。この2作と、それまでの意欲的な革新作と何が違うのか。それは「大胆な再解釈」があったかどうかじゃないかと考えている。それも、「作ってきた人たち」の目線ではなく、「視聴者の目」や「時代はどう変わっているのか」という「一般生活者の目」からどう見えているか。そこからスタートしたのが、両作の企画や製作だったんじゃないだろうか、と。

受け取る側の目で、「今まで作ってきたブランド」をつぶさに見ていく。本質を見極めて、何を残して何を捨てるのかを徹底的に再検討していく。そして、「こうだ」と会議室で作らないで、現場で日々奮闘しながら全員で新しい形、答えを模索しながら作り上げていく。どちらの作品も、試行錯誤が相当あったらしい、というのは物の本で読んだことがある。

そして、『ティガ』の後、あるいは『クウガ』の後、どうなったか。「ウルトラ」は断絶しながらも、一応シリーズとして続いている。「仮面ライダー」は毎年大胆に変えながら、断絶することなく続いている。ブランドとして、大胆なリファインがかかった後、更なるリファインはどちらもかかっていないので、そろそろ陳腐化してきた部分もあるにはある。それでも、もう一度似たようなことを丹念にやっていけば、ブランドは何度でも蘇らせることができる。

そういったことを見せてくれる、あるいは教えてくれるのが『ティガ』や『クウガ』だったんだろうなと。そして両作品共、素晴らしいスタッフが集結していたためか、『星雲賞』という優秀なSF作品およびSF活動に贈られる、日本でもっとも古いSF賞を授賞している。何年経っても、評価の高いシリーズきっての名作、金字塔にもなっているんじゃないかと、一ファンとしては思ったりもする。

受け手の目から見ていいものを作るんだ、と。共通の想いみたいなものが集まってくれば、歴史に残る名作まで残せてしまう。これは、他の商売であっても、真似していいことなんじゃないだろうか。

受け取る側の目で、ブランドのリファインをかけに行く。その合言葉が多分「UX」

供給側の都合、あるいは創業者の想いや理念で始めたことを、「UX」というか受け手の目線で捉え直して再起を図る。提供してきたことの本質を、客観的に眺めてみて、新たな命を吹き込むために「UX」が大事なんじゃないかなと考えている。

いわゆる「USP」や「コンセプト」という言葉も大事なんだけれども、ブランドの復活という意味ではやっぱり、「受け手目線」が欠かせない。ブランドというのは、「外部(=受け手、ファン、需要サイド)との約束事」だから。

その「約束事」を具体的に感じさせてくれるモノ、個々の接点やひとつひとつの体験をまとめ上げたモノが「UX」。ブランドを感じてもらうために、体験してほしいことをデザインする。それも、供給側の都合じゃなく、受け手側のリアルな満足感を優先して組み上げること。また、個々の体験、個々のクオリティ、水準をしっかり保つ、守るためにマネジメントすることもUXに含まれる(よね?)。

この、需要サイドの目で捉え直してリファインをかけた事例を、スティーブ・ジョブズのApple出戻り劇にも見られるような気がする。創業時点では、供給サイドの一点突破の想いで作り上げたものの、上手くいかなくなって放逐される。それでもなんともならなくて、戻ってきて立て直しを図っていく。

この時、ジョブズは「需要サイド」の目で、自分がやりたかったことの本質を見極めたんじゃないだろうか。あるいは、新たな本質、メッセージ性を見出した、とか。AppleやMacはやがて復活する。コンセプトが明確になり、商品との付き合い方、使い方が練りこまれたものになってファンを拡大させていく。

iPodだって、iPhoneだって、具体的に「どう使われるか」を受け手の都合で考えて組み上げたはず。供給サイドの「これまでの事情」がハードルになるのなら、新しいプラットフォームを作って概念を壊していく。スマートフォンに求められるスペックや、使い心地を「家族の写真を撮る、共有する」みたいな部分に絞り込んで作っていく。

決して、供給側が自慢しやすいスペック勝負に陥らない。実現したい理念を、需要サイドの都合で全体最適をかけていく。リファインさせていく。その果てに、ジョブズの実績が残される。そして、今現在の当該ブランドを見て抱く疑問も、多分原因はその辺りにある。

情報の伝え方を、「需要サイド主体」に変えるだけでガラッと変わる気がする

スティーブ・ジョブズ程の才能があるかどうかは、多分問題じゃない。円谷プロや石ノ森プロのようなリソースがあるかどうかも、多分問題じゃない。「UX」を切り口に、今までやってきたことを作り変える。今までの積み重ねを裏切ることなく、新たな歴史を積み重ねていくというのは、不可能じゃないと思っている。

その一連の起点になるのが、外側に向けたメッセージの組み立て方、ツールの使い方にあるとも思っている。なんせ「対外的にどう見られているのか」や「どう見られようと思っていたか」を表出させて作ったり、運用したりするのが、チラシやWebサイト、SNSのアカウントだからである。

始めた時は供給側の目で、「こうだ」と伝えていったものを、改めて受け手側の目で見直していく。本質は何か、受け手側が求める情報は何か。そもそも、受け止める人は誰なのかをとことん検証していって、必要な情報を組み立てていく。

供給サイドが必要な原稿や素材を持っているか、コストをかけずに用意できるか否かは、その時点では関係ない。需要サイドとの関係を構築するため、受け取ってもらうために必要なものは、汗をかいてでもひねり出してもらう。難しければ、呼び水になるたたき台や原案はどんどんぶつけていく。その作業に丹念に取り組んでいったら、需要サイドの目で、情報の伝え方、情報の出し方、自分たちの見られ方、見せ方を徹底的に最適化したものが残していける。それも、部分的な最適化で満足せず、一つのブランド、一つのメッセージ性に向けて全体の最適化をかけたものが残せるようになる。

思い切って変えてみたら、その後は施した変化がどう受け止められているかを検証すればいい。チラシでは難しくても、WebサイトやSNSのアカウントであれば、ある程度の反応を確かめることが出来る。受け止めて欲しい人たちに届いているかどうかも、データの取り方を工夫すれば可能になる。

需要サイドの目で、本質を変えないまま、今までのブランドを大きく変えないまま刷新してみる。本当にそれで考えた通りに受け止めてくれる人がいるのかどうかを、きっちりデータを取ってみる。その受け止め方が大きな感動を呼んでいるのかどうか、大きな満足につながっているのかどうかまで、いろんなツールを使って追いかけてみればいい。

そうすると、やがて自然に広がっていくはず。ユーザーを中心に据えた革新を、情報発信の見せ方、あるいは発信する情報のマネジメント、クオリティの管理から取り組んでみる。そうすると、どんなに小さなご商売でも大きなリソースを割くことなく、無理なく安心に未来を掴み取っていけるんじゃないだろうか。

とはいえ、いきなり正解は導けない。時間をかけて取り組む必要がある

言葉や文章、物語の紡ぎ方に多少の経験があったり、Webサイトの構築やCMSのカスタマイズ、SNSなどを使った広報なんかの経験があったとしても、すべての業界やすべての業種、全てのお客様に明るい訳ではない。全てのトレンドや全てのエンドユーザーの心理をつかんでいる訳でもない。また、そこまで頭の切れる方でもないし、表現力が十分なレベルに高められているとも言い難い。

作家としての肌感覚や、クリエイターとしての知識、マーケティングやコンサルティングを多少やりながら身につけてきた経験なんかをフル活用して、「受け手目線」や「需要サイドの目」で本質を捉えようとしてみても、すぐに正解を導くというのは難しい。「全体最適だ」と一気に全部にてこ入れするというのも難しいし、またそんなお願いをするというのも難しい。(本気でやろうとすると、コストもかかれば業務も止まる可能性もある)

また、「必要な表現」を見つけるために、こちら側で呼び水代わりのたたき台、代わりの原稿を用意してみても、コンテンツオーナー側で間違っていることもあれば、エンドユーザー側の目で間違っていることもありうる。その辺りの、「本当に伝えたいこと」と「本当に伝えて欲しいこと」とを探っていく、見つけていくのに、時間はかけないと間違った答えに飛びついてしまったりする。

本質を捉える。そして、本質を伝える。これを成し遂げるには、何度もなんどもアウトプットして、反応を検証していく形でないと辿り着けない。すぐに答えが出ないからこそ、その行程には価値がある、というか……。

最後まで丹念に見守りつつ、本業の止めずに稼働し続けてもらう。無理なく収益を上げながら、かけられるリソースの幅を増やしてもらう。徐々に手を入れる領域を伸ばしていって、無理なく「新しいブランド」へ持っていく。これをやるには、「作って納品」や「時間を区切って、制作の請負」はやっぱり難しい。

作ることや納品することを目標にも目的にもせず、時間をかけて一つのブランドを作り変えていくこと、そのサポートをしていくことを売りにしていく。届けるのは「作ったもの」じゃなく、「新しいブランド」であったり、その新しいブランドに集まってくれるファンや、ファンが生まれやすくなる環境にしたい。簡単じゃないし、時間がかかるし、誰もやりたがらない領域だからこそ、本気でやってやろうと。

ある意味、作家肌の編集者みたいな感じ? 大きな物語を、ゲームプランナーっぽく作っていくというのも近いかも

マーケティングやら、コンサルティングやら、そういう人たちにも近いのだろうけど、たぶんもっとアナログな仕事をしたいんだと思う。ビジネスのタネや、やりたいことの想いを抱いている人たちに対して、優しく厳しい編集者になってあげる。本質を引き出して、いいも悪いも含めたオリジナリティを発揮してもらうために、尽力していく。

そうやって、個性あふれるオリジナリティなご商売、を色んなところに増やしていきたい。魅了されてしまう商品やサービスを、たくさん増やしてみたいと思っている。その先に、自分の描きたい世界が待っている?

個々のブランド、個々のご商売をキャラ立ちさせていく。楽しいんだということを、仕掛けや物語も含めて仕込んでいく。全体像をこっそり作って皆さんに楽しんでいただけるような世界、社会を少しずつ作っていければ最高なんだけれども、中々難しいんだろうな、というところで一旦区切ります。

いやぁ、本記事も長かった……。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.06.23

2018.04.29

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress