「死ぬこと以外、かすり傷」という謎のポーズが、よく分からない

2018.11.19

近いタイトルの書籍もあるようですが、それをくさす意図は一切なく、チラホラ見るフレーズに対する反応、考えてしまったつまらないことを、またまた取り留めもなくオチも考えずに書いていく。

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「見かけがちなフレーズに対するリアクション」ネタの方が、リハビリ的にはどうも筆を進めやすいようなので、この系統を続けて書いてみます。繰り返しますが、近いタイトルの書籍とは無関係(ただ、中身は存じませんので恐らく、としか言えません)ですので、あらかじめご容赦いただければと思います。

かすり傷 = 大した傷ではない?

「死ぬこと以外、かすり傷」だからと言って、すなわち「大した傷を負ったことがない」という意味合いでないことは分かりますが、もしあえてこれを言いたいのであれば、それはそれでどうなんだろうか、と。「死ぬこと以外〜」というフレーズを掲げがちなのは、どちらかというとチャレンジングなことに取り組んでいる挑戦者、起業家や事業家、経営者といった方々でしょう。もし、安全に安定して成績を挙げているのなら、それに越したことはないですが、血の気の多そうな初代やパイオニアな方々は、そこだけを見られても満足しないでしょう。

「とんでもない挑戦したぜ」とか「普通は取れないようなリスクを取ってやったぜ」という姿、そして挑戦を成功させた姿、あるいは困難を乗り越えた姿も見せたいはず。できれば「前人未到」とか、何度やっても簡単にはクリアできない課題に挑戦したがる方々でしょうから、いくら運が良くても多少なりとも怪我や傷を負うはず。達成できるもの、成し遂げられるものに応じてその傷はより厳しいものになっていくでしょう。

つまり、極端なことを言えば、大した傷を負っていない = 運が良かっただけのまぐれ、あるいは大したチャレンジをしていない、誰かの力を借りて上手くやっただけ、と見られても仕方ない、ということになります。

また、物理的な原則で、こちらから強い力でぶつかれば、相手が小さなものであっても大きな傷を負うことに繋がります。高速で走行中の新幹線にめがけて小石を投げる、あるいは、強烈なスピードをあげた自動車が石や枝を巻き上げる。飛来物はとんでもない破壊力をもち、ぶつかる瞬間の衝撃は凄まじいことになるでしょう。

人間も、全力で動いてしまえば大きな怪我に繋がります。勢いよくぶつかれば致命傷を負うこともありえるでしょう。大した傷を負っていないということは、不測の事態を想定して、保険をかけて活動している、制御できる範囲内で安全なことしかしていない、と見られてしまっても仕方ないでしょう。もちろん、それが必ずしも悪いことではないですが、チャレンジを旨とする方々であれば、不名誉なことと言えるのではないでしょうか。

「かすり傷」だと、元に戻れてしまう

折角何かにチャレンジするのに、それで負った傷が「かすり傷」でしかなかったら、そこから回復する量や幅も「かすり傷」相当のものにしかならないでしょう。負った傷や失ったものに応じて、傷を治したり、失ったものを穴埋めして、恒常性を保つというか、安定的な形へ戻っていこうとするのが動物として一般的な反応だと思うんですが、回復するための資源や時間も、大した量にはなりません。

傷を負う前、チャレンジする前と大して変わらない状態に戻ることができてしまうのなら、その取り組みはそもそもやる必要があったのかとか、取り組んで得られるものが予想の範囲内レベルであっても、やっぱりやる意味や必要性がなかったと言われかねない気がします。

「元に戻る」こととか、「元に戻ろうとする力」自体は素晴らしい能力や機能だと思いますし、それ自体が良い悪いとかではないんですが、せっかくやるのであれば、「かすり傷」というのはもったいないかなぁ、と。盛大な致命傷を負っちゃう、失えるギリギリまで大きなものを失っちゃった方が、そこから生み出される新しいものや、新しい自分の変化は大きく、より斬新なものになるんじゃないでしょうか。

致死率何パーセントみたいな病気を克服したら、遺伝子的に別種の動物に進化しちゃった、とか。劇的な体験をして、価値観が根底から覆されてしまう、とか。クライマックスで死を乗り越えて、凄まじい成長を遂げる神話の法則的な物語とか。どうせ何かにチャレンジするのなら、それぐらい大きな変化、簡単には手に入らないものや知見を手に入れる方がいいんじゃないかなぁ、というのが個人的な意見でしょうか。

かすり傷より致命傷、「死んでない」より「何度も死んだ」はダメですか?

なんとかサバイバーとか、現在進行形で大病を患っていないから、こういう話を軽々しく出来るんでしょうが、もちろん、命は一人につき一つです。本当に死ぬことができるのは一回だというのも理解しています。しかし、経済的に死にかけることとか、精神的に死を覚悟することとか、特定の分野で社会的に死ぬとか、あるいはそういう表現を選ぶことはできるんじゃないでしょうか。そして、そういう方面であれば色んなケースで「死ぬ」とか「死んだつもり」にはなれると思いますし、何度も経験できるとも思うんです。

本気で物事に取り組む、命がけで必死に何かをやっている時というのは、渦中の本人は周りを見る余裕もなく、気がついたらとんでもない状況に追い込まれていたり、どうにもならないピンチに陥る瞬間を迎えた結果、致命傷を負うこともあるでしょう。

群れの中で安全な日常を過ごしていれば、きっと一生縁のない状況に自ら進んでいる時点で貴重な体験、それをさらに推し進めて引くに引けない状況、凄まじいプレッシャーのかかる状況まで進んだなら、より貴重な経験。そこで致命的な痛みを負う、普通に過ごしていれば失うことのないものを失ってしまうことも、どちらも価値のあることで、そこから立ち直ったり、這い上がってくる姿や身についたノウハウというのは、もっと価値の高いものではないでしょうか。

色んなものを犠牲にして、数々の擬似的な死と再生とを繰り返すからこそ手に入れられる。そういうものも、世の中にはあるはず。冒険しなければ手に入らないものを、欠片でも手に入れようとするから、起業したり、前人未到のチャレンジを選んだりするのではないでしょうか。

死ぬことを意識すればするほど、簡単には死ななくなる

「武士道といふは死ぬ事と見付けたり」と著名なフレーズもありますが、避けたいと思うことに向き合えば向き合うほど、あるいは危ないと思うものを直視すればするほど、案外なんとかなるというハラができてきます。

「死ぬこと以外、かすり傷」だと構えているよりは、「いつでも死ぬつもりで致命傷を負ってやろう」と構える方が、結果的に長生きできそうですし、成長の度合いも後者の方が遥かに高いでしょう。

そして、自分もそういう人なのかもしれませんが、危ない局面、修羅場に立ち会う瞬間、向き合う機会が多い人ほど、案外なんとかなるようになっている気がします。個人の意思だけで生きているのではなく、周りからの不思議なご縁や見えない力によって生かされていると思うこともしばしば。そうであるなら、簡単には死なないだろうし、思い切って振り切った方が、他の人には辿り着けない境地に行ける気もします。

もっとも、生きるだの死ぬだのは結果であって、どうでもいいんでしょう。その瞬間、その瞬間で全力でやっているか、足元から大きく変わるかもしれないリスクを積極的に取り込んで行けるかが重要で、そういう諸々の局面に真正面からきちんと向き合えるか、覚悟や意志は十分な強さがあるかが、問われているように思います。

「死ぬこと以外、かすり傷」の意図が、やっぱりよく分からない

経営者や起業家、実業家など、リスクを取ってきた方々、チャレンジしてきた方々が結果論で「死ぬこと以外、かすり傷」というのはまだ分かりますが、結果的に「大した傷も負ってない人」と掲げてしまっている方々から、何かを学べるとはあまり思えません。

また、過去の自分の経験をもとに若い人を焚きつける意味で、どんな挑戦をしてみても、「死ぬこと以外、かすり傷」と言いたいのであれば、それは半分嘘というか、そんな心構えで唆すのは誠実さに欠けます。危ないものはどうしたって危ないし、自分でも危険な目にあって見ないと分からないことも多々あります。群れの中から飛び出そうと思うと、どうしたって怖いし危ないっていうことも、きっちり伝えてあげる方が真摯な態度と言えるのでは。

「自分は賢くやってきたから生き残ってるんだ」と言いたいのか、あるいは「自分の下でやれば、かすり傷で済む」とでも言いたいのか。このフレーズを掲げて、表面的に奮闘してます、と小賢しく格好つけるのはかえってかっこ悪いかなぁというのが、個人的な意見でしょうか。

仮面ライター的には、愚直にボロボロな感じの方がいい

賢く小綺麗な感じで要領よくやるよりは、いつでも不完全で、いつでも傷だらけのボロボロでいる方が誇らしいかなぁ。何度も死にそうな目にあって、何度も蘇る方が性に合う気がする。無茶苦茶な生き方を背中で示して、なんだかんだで悔いなく長生きしてやりたいかなぁ。バカ正直さを背中で示してやりたいとか思ってしまうアホなブログは、この辺でお終いにしておきますか……。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2018.11.19

2018.11.19

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