「プリプロ」、「ポスプロ」も意識したい

2018.11.21

ブログだろうと写真だろうと、動画だろうと。誰でもコンテンツを作れる時代、誰でもクリエイティブなものを発信できるようになった時代。手軽なツールも豊富な時代だからこそ、ちょっと考えるだけで変わってくるであろうポイントを、ご紹介します。

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スマートフォンやSNS、Youtube等の動画投稿サイトが登場して以来、クリエイティブの垣根、コンテンツ制作のハードルはどんどん下がっていってます。ブログの素材としてお手軽な言葉はもちろん、写真や映像も調達はそれほど難しくない時代。さらに、それらの加工ですらお手軽になっています。

じゃあ、誰もがハイクオリティなコンテンツ(ブログ、画像、動画)を制作できているかというと、必ずしもそうではないでしょう。センスの問題、技術力の問題もさることながら、「作り方」に対する意識や考え方を知らないために、クオリティが今ひとつなケースもあるでしょう。

この記事では、そういった要素に対する回答として、主に映像や音楽の制作現場で使われている、「プリプロ」、「ポスプロ」という用語を持ち出して、個人的な見解多めで解説していこうと思います。

コンテンツ制作は、プリプロ、制作の本番、ポスプロの3工程

各用語の解説をする前に、コンテンツ制作の主な流れを、大掴みに解説すると、どんな業界、どんなメディアであっても概ね上記の通りです。プロダクション、つまり「生産、制作、製造」を中核として、その前にあたる工程と後ろに続く工程とで出来上がっていることがほとんどかと思います。

映像や写真の場合だと、プロダクションは「撮影そのもの」をさすでしょう。スタジオを準備したり、小道具や大道具はもちろん、被写体にあたる物、あるいはカメラの前に立ってくれる(出)演者、照明など、必要なスタッフを揃えて臨む現場、本番がそれです。音楽の場合は、録音スタジオを借りての収録、録音がそれでしょう。

工業製品とかであれば、工場で機械や人が動いて製品を生み出している部分、漁業で海や河に出ている間、新聞や雑誌など取材やインタビューがある文字媒体の場合、外部に出かけていって取材する部分、インタビューする部分が該当するでしょうか。

どんなジャンルであれ、概ね自己完結にはなりにくいのが、このプロダクション。何が起こるか分からない本番、現場、猟場の一種。他の人との関係性はもちろん、環境との兼ね合いで柔軟な対応、臨機応変な動きを求められるのも、この部分。失敗は禁物、やり直しも基本的にはあまり効きません。

時間をかけることは可能ですが、その分コストがかさみますし、現場によっては安全性に対するリスクも高まります。本来であれば、十分な備えをして迎えたいのが、「プロダクション」という工程になります。

この「プロダクション」を時間軸的に前から支えるのが「プリプロ」、プロダクションの成果と消費者との間を取り持つのが「ポスプロ」ということになります。

プリプロ = プリプロダクション。事前準備

事前準備といっても、どこからどこまでを指すのかはまちまちで広すぎますが、後工程の「プロダクション」に関する項目であれば、基本的にはプリプロと言って差し支えないでしょう。発注がかかった時点、企画する段階からプリプロと言っても良いと思います。

「プロダクション」の段階で、何を作れば良いのか、何を収穫してくれば良いのか、どんな仕上がりがあれば良いのか、設計図なり戦略なりを立てておくのが、プリプロの大切な役割です。「プロダクション」を支えるのに、何らかの下準備、技術開発やツールや機材の調達、必要なものの制作があれば、それも全てプリプロでやっておかなければ、まともな「プロダクション」はできないでしょう。

何も決めずに現場に赴いてみて、そこで取れたもののライブ感や鮮度、現場で感じたフィーリングを重視するから、プリプロは必要ないというのも、決して間違いではありません。しかし、ある程度、最終的な仕上がりを考えた上でプロダクションに臨まないと、現場で偶発的に生まれたものを生かす余地も小さくなるので、現場感、ライブ感も大事にしながら、事前準備もしっかりしていただければなと思います。

ポスプロ = ポストプロダクション。プロダクションの後工程

主に映像や音楽、画像の編集作業や、CG、VFXの追加、パッケージ化するための様々な工程が含まれます。文章の編集作業、校正作業、製本などもポスプロと見て良いでしょう。

プロダクションの部分で必要な素材を確保したからといって、それがそのまま消費者の元へ届くわけではありません。加工や編集、レタッチなどが加わり、メディアへ落とし込んだり、物として商流に載せるまでの作業も必要になります。

サカナや野菜だって、自動車のような工業製品だって、取材を経た新聞雑誌だって、それは例外ではないでしょう。誰かに見せるため、使ってもらうために分かりやすく加工する、あるいは自分たちらしさを加えるために、ポスプロで個性を出すこともあり得るでしょう。生放送や生配信だった場合でも、コンテンツとして仕上げるなら相応の工程があるでしょうから、「プロダクション」で終わることはないかと思います。

「プロダクション」工程が低コストだと、プリプロを軽視しがち?

基本的に、そんなに何度も「プロダクション」の工程は踏めません。やり直すなら、プロダクションの最中にやり切っておいた方がよく、ポスプロに入ってから前工程に戻るのは、相応のコストが発生します。規模の大きい現場になればなるほど、再招集すべき人や物が増えますし、スタジオ等をレンタルするなら追加の費用もかかります。もちろん、自分の人件費もあります。前回のプロダクション時を再現するための調整も、案外バカになりません。ある程度条件を揃えないと、ポスプロではどうにもならない瑕疵が残ったりします。

しかし、個人がブログなり、Vlogなり、インスタグラム用の写真を撮る程度であれば、何度でもやり直し、工程戻りができるでしょう。多少変なところがあったとしても、ツールの力で補正できてしまうというのもあるでしょう。そうなると、どんどん「思いつき」重視になってしまって、あまり深く考えずに「コンテンツ制作」(+発信)をやりがちです。

クオリティや戦略をあまり考えないのであればそれでも十分ですが、残念ながらプリプロが不十分なまま、プロダクションをやってしまっても、いいコンテンツはできません。スキルやセンスが超一流の押しも押されぬクリエイター、アーティストであれば例外でしょうが、多くの方は該当しないでしょう。

もし、コンテンツ制作の時間を無駄にしたくない、せっかくリソースを投じるならマシな反応が欲しい、意味のあるコンテンツ制作をしたいとお思いなら、ぜひ「プリプロ」というのを意識していただいて、しっかり備えた上で「プロダクション」の工程に進んでいただけたらなと思います。

何かを作りたいなら、まずは「買い物メモ」を

プリプロ、プロダクション、ポスプロと解説してもピンとこない場合もあるかと思うので、身近な例に置き換えましょう。例えば、作るコンテンツ = 料理としましょう。ポスプロは調理過程、素材を加工する部分。プロダクションは材料調達、材料選定の部分。プリプロは、どのレシピを参考にするか、どの料理を作るかを考える部分。

冷蔵庫のあり物や台所にある調味料だけで作ることも可能ですが、誰かに美味しいものを作ろうと思えば、何らかの調達や買い出しは必要になると思います。この時、レシピを確かめて足りないものをピックアップするとか、何を作るか決めてから買い足すものを決めて、材料の調達に向かうはず。そうやって仕入れてきた材料、調味料を使って、頑張って調理した結果が料理、一つのお皿になるはずです。

もし、皆さんがプロの調理師級の腕前を持っていて、いつでも最高の食材と調味料が過不足なく揃っているキッチンも備えていれば必ずしも上記の通りではないですが、一般的には買い出ししますよね? 冷蔵庫にないものとか、切らしてしまった調味料とか、チラホラあるはず。その状態だと、一味足りない美味しい料理はできるけど、ちょっと物足りないものになりませんか? 料理に例えると割と納得していただきやすい話なんですが、なぜかブログやVlogになるとピンときてくれない方がチラホラいらっしゃるんですよね。

言葉やブログで書きたいこと、書くべきネタというのは、調達しやすいと思っているんでしょうね。また、ブログに使う写真はいくらでも取れるから、ありものを使えば良いと思われるんでしょう。Vlogも狙いすぎると良くないからと、撮れたものだけで作ってしまおうとするのでしょう。

ご自身の趣味や学習のためならそれでも構いませんが、ビジネス目的のブログやマーケティングなども含めた広報活動、PRの一環として取り組んでおられるのなら、書く前、撮る前、編集する前に、まず自分はどんなコンテンツを作りたいのか、そのコンテンツに合わせて必要な素材、言葉や画像、映像はどんなものかをしっかり考えていただきたい。

思いつくままにコンテンツを作るのではなく、まずどんな素材が必要かという「買い物メモ」、どんなコンテンツを作ろうかというレシピや方向性を固めるようにしていただければ、何も考えずに取り組むよりはマシなコンテンツが出来上がってくるかと思います。

技巧に走り過ぎないポスプロも大事

文章がメインのブログではそこまで技巧に走ったものは見かけませんが、画像や映像となると、機材由来の様々な機能や加工ツールに用意された多様なエフェクトを使った編集効果を加えたものを、よく見かけます。

これも、自分で勉強するためであったり、趣味で遊ぶ分には何をやっていただいても結構ですが、分かりやすい技巧を見せびらかすようなコンテンツは、印象は良くありません。クリエイター、アーティストとしては恥ずかしいと思った方がいいでしょう。

ツールやテクニック、ギミックといったものは、これ見よがしに誇るものでも、遊ばれるものでもありません。あくまでも表現したいことを生かすため、素材をよりよくするために使われるべきですし、見てもらうためのコンテンツ、受け取る人のためのコンテンツを作るのであれば、受け取る人を迷わせない作り方、過剰に酔わせることがない作り方をするべきでしょう。技巧は必要最小限に留めておいた方が、「あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ。」(by 藍染惣右介 from『BLEACH』久保帯人/集英社)と思われにくいので、気をつけられた方がいいんじゃないでしょうか。

受け取りやすくするための大胆な編集、整合性や品格を保つための校正も大事

書けたら書きっぱなし、映像が繋がったらそれでOKと思いがちでしょうが、可能であれば出来上がった瞬間からしばらく時間を取っていただいて、世間へ公開する前にもう一度自分の作ったものを振り返ってください。

情報の並べ方が拙いがために折角の感動的なシーンが空振りに終わっていたり、全然トンチンカンな知識でコンテンツを作っていたりすることも、稀に良くあります。最後まで出来上がったから大きく壊したくない気持ちはわかります。自分の独創的な着眼点でコンテンツが作れた、と言いたい気持ちもよくわかります。しかし、折角コンテンツを作るからこそ、受け取った人に、伝えたかったことを正確に届けるためには、大胆な作り替えや、整合性、考証の見直しというのも、時には必要です。

受け取る人に見てもらう、読んでもらうチャンスが2回も3回もある場合は低クオリティのまま公開してもらえばいいですが、基本的には一期一会、一回限りのチャンスでしょうから、その一回で相手の心や頭を掴む、グッと来てもらえるようにした方がいいでしょう。

それなりの想いと時間、諸々のリソースをかけてコンテンツを作るのであれば、できうる限り一番いいものが作れるように、精一杯の努力をしていただいて、その結果生み出されたコンテンツに対して首を垂れさせていただければ、非常に幸せです。

いいコンテンツを作るためにも、いいビジネスブログを目指すためにも、ぜひ「プリプロ」、「ポスプロ」も意識していただければいいなと思います。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2018.11.21

2018.11.21

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