Vol.39 北摂は高いポテンシャルを秘めている

2019.09.26

日頃思っていること、考えていることをいい機会だから前後の関係も考えずに出し切ってしまおう。割とどうでもいい話題も、文献もデータも抜きに、いいたい放題書き散らす。今回のテーマは、「北摂」。

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大阪らしくない、大阪北部

京阪神にアクセス良好な大都市近郊

どこから北摂とするのか、どこまでを北摂に含めるのか、行政や地理的な区画はあるものの、割と人それぞれなところもある地域。場合によっては県境をまたいで兵庫県に差し掛かっている場合もあるが、概ね大阪市に隣接する部分から京都府までの間、淀川の西側地域と見ていいだろう。ちなみに、淀川の東側、枚方市や交野市、寝屋川市や守口市、門真市辺りは北河内と呼ぶらしい。

大阪府内だと、北西側から能勢町、豊能町、池田市、豊中市、箕面市、吹田市、茨木市、高槻市、摂津市、島本町辺り。場合によっては、兵庫県伊丹市や西宮市あたり、いわゆる「阪神間」と呼ばれる地域も北摂に含める時もある。この中でも、個人的に思い入れが強いのは、このうちの池田市〜茨木市、衆院の小選挙区でいうと第9区の地域。

全国区の番組等では、「大阪らしいところ」と言われるとどうしても道頓堀や、千林商店街、県境をまたいで尼崎のようにこってりしたところを取り上げがちで、いい意味で大阪らしくなく、外向けにはそれほど主張が強くないのもこの地域だろうか。

阪急が比較的強い地域でもあり、交通網は電車もバスも空路も充実。京都にも大阪市内にも神戸にもアクセス良好。教育機関も充実しているだけでなく、観光向けのスポットや大型の商業施設も有している上に、工場や各種産業の大型設備もチラホラ。住むによし、遊ぶによし、働くもよしの、本当にいい地域。最近でこそ、雨や台風、地震の話題もチラホラあるものの、気候も割と良好で暮らしやすい土地ではないだろうか。

のんびりしているのに、比較的オープンな地域?

郊外のゆったり感と、余所者歓迎な空気が共存

全ての地域が該当するとは言えないものの、基本的にはベッドタウン、住むための街、子育てするための場所という感じで、都心部の張り詰めた感じやガツガツした商売っ気、独特の早さ、緊張感みたいなものは余り強くない。大阪以外、関西圏以外からの移住者も割と住まわれるからか、田園地域も広がる割には田舎にありそうな余所者を阻害する雰囲気、新しいものを排除する硬さも余りない。

良くも悪くも、昔から大都市に近かった、交通の要所だった場所が多い、古くから文化が開いていた地域、安定して人が住み続けていた地域というのもあるだろうし、阪大を筆頭に大学が点在しているというのも大きいのだろう。時代においていかれるという焦りも余り感じないし、「地域の伝統にしがみつくんや」みたいなことも余りない。もし、何か必要なものがあれば、京都なら京都、大阪市内なら大阪市内に電車一本で出かけていけば済む話。新幹線や飛行機で首都圏もスッと行けてしまう。

その割には、都心部に比べると土地が比較的安いのか、大きな区画で大型施設を建てられるキャパシティもある。盤石な輸送力があるとは言えない地域もあるものの、工夫するなり強化するなりすれば、なんとでもなりそうな場所でもある。有効活用されきっていない土地もあるし、隠れた名店、こだわりのお店なんかも目一杯隠されているのが、北摂の魅力だろうか。

「辺境の良さ」が沢山詰まっている

都市部ならではのイライラ、嫌な空気とも距離を取れる

北摂を「辺境」と呼ぶには余りにも「中心」に近い気もするが、常にガツガツとしていて、外部からひっきりなしに人が来て、鉄火場の中枢という意味の中心、中央とはやっぱりちょっと違う空気が漂っている。地方、郊外と呼ぶには都会に寄りすぎているが、都心に対するカウンターという意味で「辺境」と呼ばせてもらおう。

北摂に長年住んで、都心部、大阪市内で数年暮らしてみて、北摂に舞い戻ってみると、用事や拠り所がないときの都心部というのは、それほど居心地が良くないということに気がついた。梅田や心斎橋が特殊なのかもしれないが、常に時間に追い立てられている感覚があるし、人が多すぎる割には「分かっていない人」もそれなりにいて、スムーズに動けない、あるいはみんなで楽しく過ごすということに思い至らない、行動に移せていない人もかなりいる。

個人的によく行くのは大阪市内でも梅田周辺なんだけれども、明確な用事がないと長居することも少なくなってきた。「いつもの動線」を塞ぐ人、阻害する人も一定数いるし、見ていて不快になる人もチラホラいるし、どこかに尻を落ち着けて滞在しようにもスペースがない。わざわざお金を使ってお茶をするぐらいなら、座る時間、お茶をするお金もかけずにサッと帰りの電車に乗ってしまうこともしばしば。

ついこの間まで梅田の近くに住んでいて、梅田の近くに拠点を持っていたのにも関わらず、こういう感覚を抱いている。大阪特有の空気が強くなる長堀通りより南側、心斎橋やなんば以南に感じる「近付きにくい空気」ともまた違う種類のイヤな感じも、北摂にいれば感じることがグッと減る。

基本的には地場の人、地元の人が多くなるから、「そこでの流儀」や「そこでのお作法」が基本的に分かっている人の方が多く、「自分がいつもやりたいこと」を阻害される要因がそもそも少ない。外からの人が集まりやすい商業施設に自分から近づけばその限りではないが、基本的には、お互いの「いつも通り」を通しやすい。

なんとなくゆるっとした雰囲気、ゆったりした雰囲気も、間違いなく魅力の一つ。田園地域とは言えないものの、都心部に比べれば自然も多く、高い建物がそれほど立たないおかげで空も広い。便利さを追求しすぎない故のゆとり、需要が多くないことからくる不便さも、まだ心地いいレベルに留まっているように思う。

阪急沿線というブランド、阪急沿線民という幻想も手伝って、人の良さ、土地柄の良さというのも土台にはありそう。もちろん、「そうでないひと」も沢山いらっしゃるし、実態とは違うかもしれないが、良い人というか、人の話を聞こうとしてくれる人、改善しようとする姿勢を持っている人が、若干多いように思える。

他の地域に漏れず、高齢化の波には勝てていないが、教育機関の充実もあり、若年層、幼年層もいる。偏差値の高い学校も多く、経済的に余裕を持ったご家庭もチラホラ? Webも含めた地場のメディア、地元向けのフリーペーパーやクーポン雑誌、コミュニティラジオもいくつかあるし、何より大学が沢山ある。

消費者向けのサービスとしては、チェーン店、従来の資本主義に根ざした商店、サービスが多いように思うが、根付かない店舗はロードサイドであってもすぐに廃れ、入れ替わる。一方で、こだわりのお店、サービスも沢山ある。事業者向け、BtoBの商売はどうしても大企業向け、主従でいえば「従」の業態が多く、総体的には都心部の「主」に対する「従」の地域の一つとなっているイメージ。

ただ、「違いが分かる地域」でもあるのか、徐々に「規模の経済」が上手くはまらない部分、上手く機能しない部分も出始めているような気もしている。自由に生きる人も集まりやすいのか、新しい働き方、新しい生き方を取り入れている人、それに感化される人も割といらっしゃるようで、「今までの戦略」で新規出店しても早々に廃れる商売、サービスが割と多い?

北摂、というか「辺境」の弱点?

クリエイティビティが発揮され切っていない

都心部に比べれば土地も安いのに、広い地域や駅前が有効に活用されているとは余り思えない。旧態依然としたメディア戦略、情報活用にとどまっていて、地域ブランディングやプロモーションが上手にできていない。

「辺境」の弱点としては、クリエイティビティを発揮するための材料、情報や知識、それを加工するための文房具、パソコンなどの情報処理機器が手に入りにくい、流入されにくいというのもある。地域柄、京都なら河原町、神戸なら三ノ宮にでも出て行けばそういった「ネタ」も仕入れやすいが、「今どんなネタがあるのか」というのは、「辺境」にずっといると分からない。

特に、本や文房具は貧弱で、チェーン店やよそのコピペに過ぎない本屋、文具屋ではクリエイティブに必要な道具が手に入れられない。もしかしたら、ホームセンターで手に入る資材も、クリエイティビティには今ひとつなラインナップのものしか入荷されていないのかもしれない。

クリエイティブなことをやるのには十分な余白、空間的にも土地的にもできるリソースが整っているのに、足かせを嵌めるかのように、道具やネタが手に入らない、何を仕入れればいいかが分かりにくい。あるいは、キラキラ系起業家によるミスリード、変な権威主義に目を奪われて、「本当は役に立たないやり方」へ空疎な投資をし続けているのかもしれない。

「北摂」の枠を広げて、西は兵庫県の瀬戸内側を姫路あたりまで、東は京都や奈良の府境、県境(JR学研都市沿線)まで広げ、播州から北河内も、属性が近い地域と考えると、相当数の若い人材、大学や専門学校が含まれる。含まれるけど、産学連携や若くて才能ある人材の有効活用という点では、大企業や都心部にばかり持って行かれているイメージ。

コワーキングスペースもなくはないが、若手起業家や有能な人材が膝を突き合わせて話すスペース、コミュニケーションをとれる場所が潤沢にあるとは思えない。非常に利用しにくい、またはそこまで考えた運営がなされていない印象、ストック収入のためのシェアオフィス、その延長というイメージで、集まりやすい場所にあるのは、量産型の喫茶店かロードサイドのチェーン店。これではクリエイティブな話は盛り上がらない。

酒場は酒場でコミュニティが出来上がっていて、新参者がポッと入っていくにはハードルが高いお店が多いイメージ。時期を逸すると、新しいことが何もできなくなりそうなのも、「辺境」にありがちな弱さだろうか。都心部なら気にならないことが、「辺境」ではどうしても引っかかってしまう。

もっと、その土地土地、あるいは横の連携を充実させて、大企業や都心部に対して対等な立場、カウンターになるような地域、存在にできると思うんだけれども、従来の価値観に染まったまま、今上手くいっていない「今までのやり方」一本槍では、そんな変化は見込めないだろう。

北摂をコアにしたベルトラインで、シリコンバレー?

新規産業、新しい生き方、暮らし方を追求するにはいい地域

都心部への接続の良さ、他地域との連携の取りやすさで言えば、かなり恵まれた地域。各々ではそれなりに、クリエイティブな活動にも取り組んでいるんだけれども、どこかに「昔の考え方」が残っていて、新しいやり方、考え方に振り切ることができていないからか、「そこで新しいことをやる」動きにはまだ育っていない?

北摂阪神間で、都心部や大企業に対して対等な関係を持てるようなイノベーション、新しい生き方や暮らし方を提案できるような実証実験を完結させる、「そこでやり切る」ようにすべきだろうし、できると思う。地域内での産学連携、地域内での新規企業、若手による横の交流、若手を育てる意味での上下の交流も持てるようになれば、北摂だけでなく、横のベルトラインも変わっていけるはず。

他の地域に比べれば比較的恵まれた地域、潤沢にリソースがある地域だから、「ここで上手くいったこと」が他の地域でも上手くいくとは限らないが、それぞれの地方、土地土地で「郊外というには中心、中央寄りの辺境」はあるだろうし、「辺境のやり方」みたいなものが見えてくれば、「前例に倣って」何かできるかもしれない。

人口減少、衰退するしかないという思考停止に陥って、反転の可能性、逆転の国家錬成陣を考える人をあまり見かけない。逆転の錬成陣を仕掛けるため、それに携わってくれる人柱、十分なリソースを育むにはこの地域が向いている。北摂の活かしきれていない潜在能力、ポテンシャルをきちんと活用する、生かすようにできれば、この国はまだまだできる、成長できるんだということも、示していける気がする。

そのためにはイメージづくり、情報の利活用が、やっぱりキーポイント。それも、特別な「ハレ」を考えた打ち出し方ではなく、ちょっと良いいつも「ケ」を考えた打ち出し方、組み立てを考えていくこと。新規顧客の獲得よりも既存顧客の定着、リピートの誘発を考えたWeb活用を足がかりに、物語による良さの伝搬、ちゃんとしたコンテンツによる情報伝達をしていくだけでもちょっとずつ変わっていくと思うんだけれども、いかがだろう?

土地を含めた潤沢なリソースを、もっと上手く使いたいし、もっと良い地域、「中心」の人も関わりやすい「辺境」に持って行ければ最良なんだけれども、まずは自分の足元を固めていかなければ……。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2019.09.26

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