【壊乱】#018

2016.03.12

竜退治をテーマにしたオリジナル小説。
第18話。

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「装備って言ったって、どうするよ」
 ドルトンは、手斧を戻し、部屋の籠や棚の中、壁に飾られた戦斧を眺めながらウロウロする。
「俺の装備は大体決まってるし、魔導石も現地調達できそうだし」
 アレンは、色とりどりの魔導石が詰められた箱を覗き込んでいる。ドルトンは更に動き回り、身丈を大幅に超える盾の前でしゃがみこんだ。 「お、ドルトン。シールドマンでもやってくれるのか?」
「いや、そのつもりはあんまりないんだが、今回、防御とか陣形とか、どうするんだ? 前衛、後衛とかよ」
「前衛しかできん脳みそ筋肉は、貴様だけだ。ドルトン・カーペンター」
 グレイシアは腕組みをしながらドルトンの背中に言い捨てた。
「アレンは後衛がいいんだろう?」
 僕は幅が広めの剣を見繕いながら、背中側のアレンにいう。アレンは魔導石の箱から離れ、なにやら重い金属音をガチャガチャ鳴らしている。
「そうだな。状況に合わせた魔法の詠唱は、時間がかかる。おっ」
 アレンの声に振り返る。アレンは小振りの先込め式の銃を箱から引き上げた。砕かれた魔導石も打ち出せるらしい。すぐそばにあったナイフも手に取った。
「降りかかる火の粉はなんとかできなくはないが、守りは付加魔法や護符、外套で凌ぐしかないな」
 アレンは、銃を収めるホルスターも見つけ、銃を足に、ナイフは腰に佩いた。弾丸用の魔導石や、薬草の類を腰のポーチに詰められるだけ詰め込んでいく。
「そういう話になると、やっぱりシールドはあった方がいい訳だ」
 ドルトンは、牛のような角が横に生えた、両頬をしっかり覆う兜を被った。腰や足回りもしっかりと身を固める装備を選んでいる。上半身は、胸や背中は厚手のプレートで守っているものの、両腕は剥き出しのままだった。
 ドルトンは、丸い円盤に鎖のついた武具に目を留めた。
「なんだ、これ?」
 ドルトンは、鎖を持って円盤を引き上げた。
「お、手元にスイッチがある」
 ドルトンがスイッチを触ると、円盤に沿うように、円周上にナイフのような刃が突き出した。さらにスイッチを操作すると、柔らかに絡み合っていた鎖が固まり、ドルトンが両腕で構えると巨大な斧やハンマーのようになった。
「ぶん回してよし、そのままぶん殴ってよし、叩き切るにも叩き潰すにも使えるってか。モーニングスターと戦斧のいいとこ取りだ。いいね、気に入った」
 ドルトンは、その武器を右手首に装備した。手首についた手甲のような装置に、鎖が巻き取られていくと、小さな盾を装備したような形になり、ドルトンの両手は空いたままになる。
「まだなんか持てるみたいだし、さっきの盾も装備しますか」
 ドルトンは、さっきまで眺めていた盾のところに戻り、左腕一本でも持てる、一回り小さな盾を装備した。
「お前はどうするんだ、ブレイズ」
「僕? 僕は……」
 周りの面々の顔と装備を見る。ヒューリィとネウロの普段の装備も思い出しながら、中断していたブロードソード探しを再開する。
「武器は腰の剣で十分じゃないのか?」
「確かにこれでも威力は十分だけど、小刀より大きいぐらいだ。斬れ味も十分すぎるぐらいだけど、普段は、もう少し離れた間合いでも届く方がいい」
 一本一本の触った感触、持ち上げた時の重さを確かめていく。片手で持つにはやや重い剣をカゴから引き抜いた。目の前で横に持ち、鯉口を切って刀身を確かめる。
「黒いな」
 横で見ていたドルトンがつぶやいた。
「ブロードソードというには、やや細い気もするが」
「まあまあ、ちょっと試してみるよ」
 剣を抜ききると、黒々とした両刃を備えた剣だった。ドルトンの言うとおり、幅の広い剣を探していた割には、若干細めかもしれない。
 両手で握り、正眼に構えて振り下ろす。重さと硬さを両手に感じる。見た目以上に鋼の密度は高いようだ。
 僕は剣を鞘に収め、宝剣を傷つけないように腰に佩く。後頭部と頭頂部を覆う兜と、鎖帷子を着込む。鎖帷子の上にはいつもの服を重ねた。左手に小さな盾のついた籠手を手首にはめる。
「ほぉ、馬子にも衣装。いや、まるでサーカス、か」
 ヒューリィは、グレイシアの剣を手に戻ってきた。グレイシアに剣を返す。
「装備が決まったら、次はブリーフィングだ。休んでる暇はないぞ」

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【壊乱】#001

竜退治をテーマにしたオリジナル小説。 第1話。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.03.12

2018.05.02

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