「物語」と「ストーリー」の違い(仮面ライターの偏見に基づく主張)

2016.06.28

ビジネスでは、「ストーリーを語れ」と言われて久しい気がするけれども、ストーリーと物語との違いは一体なんだろうか?
仮面ライターが「物語」にこだわる理由は何かも伝えられるといいなぁ……。

この記事は 約 6 分で読めます。

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そもそも、「物語」ってなにか?

実を言うと、中学時代に小説を書き始めたものの、物語とは何かをしっかり考えたのは、大学生になってから。

もうどの本を読んで得た知識だったか思い出せないけれども、物語とは読んで字のごとく、「物が語る」んです。
モノローグといった手法で「人が語る」スタイルは、小説でも漫画でも映像でもよく見るとは思いますが、あれは「物語」に見せて「人語(ひとがたり)」で、本当の「物語」というのは、なんらかの「物」を見たり感じたりして心の中に伝わってくる状態、湧き上がってくる状態のことを、「物が語る」で物語、というようです。

父親の形見であったり、実家の柱に書かれた身長を測るための線だったり、『北の国から』で純がお父さんから受け取っている泥のついたお札とか。ああいう、特別な物が語ってくれるから物語になるというのに、割と小説を書きなれてから触れて、「おお、そうか」と思ったレベルです。

ここのニュアンスは割と意味が大きいので、しっかり掴んでもらいたいんですが、なかなか難しいところですね。

ストーリーとは?

ストーリーとはなんだろうかというのも、ざっくり考えてみるんですが、個人的な偏見に基づく主張では、ストーリーというのは「流れ」を指す物だと思っています。特定のスタートがあって、特定のゴールに向かう間にいろんな寄り道をしていくシナリオ、プロットに具体的なキャラクターや舞台設定が絡んで、ストーリーになるんだと。

この辺の詳しい話は、作家講座なんかにご参加いただくのが一番わかりやすいんですが、山登りなんかでもいいです。4コマ漫画でも構いません。
何か伝えたいことがあって、その伝えたいことのための気づき、衝撃を与えるための道のりがストーリーだということです。

下手でも上手でも、文章という言葉の連なりを作ることさえできれば、ストーリーというのは作れます。破綻していても、語彙が少なくても、起承転結みたいな物がなくても、何を言いたいのかがわからなくても、ストーリーにはなり得ます。

ただ、書き表されていない物はストーリーとはみなされにくいので、受け手の心の動きなんかはストーリーには含められないのかなというのが、個人的な主張でしょうか。
物語は、そういった心の動きのトリガーになる物はちりばめられますが、こちらも顕在化はできません。保有はできるといったレベルです。

「物語」で感情を動かしてもらうには?

1.没頭してもらうこと

まず、読み手にその世界に没頭してもらわないと感動はしてもらいにくいので、全力で不快な物を取り除いたり、かなり狙った上でいろんな物を配置してあげる必要があると思います。また、いきなり結論を出してしまっても、ストーリー展開としては面白くても、物語としてはイマイチっていうこともあり得ます。流れよりも、描写、味わいが大事なんだと思います。

2.戻ってくること、繰り返すこと

「物」が語るには、「物の変化」もあった方がいいでしょう。
自分が通った小学校の机や椅子を見て、「わあ小さい」と人が感じることが、「物」が語るには必要なことだと思うので、語ってほしい「物」は何度か登場する必要があります。

そういう意味では、「元の場所に戻ってくる」ようなお遍路さんなんかは、「ああ、こんな景色だっけ」と人が感じられることができるので、とても物語的なのかなと。
また、「元の場所に戻ってくる」形の方が作劇としては楽になると思うので、ベースの型は「起承転結」よりは「神話の法則」に基づいた「生きて帰りし」タイプの方が物語にはなりやすいのかなと思います。

3.直接伝えない、解釈してもらうように作る

ついつい、直接書いてある物を見て分かった気になりたいですが、「物が語る」のなら、こちらから解釈してあげないと「物語」にはできないのが、物語の奥深いところで、何度も読んだり味わったりできるところではないでしょうか。

つまり、色んな物が隠してある、含めてあるというのが「物語」としては重要なのではないかと私は思うのです。
直接伝えるのではなく、違う何か、違う目に見える物、感じられる物を通じて、相手の心のうちに火を灯すようなやり方、間接的なやり方でないといい「物語」とは言えないのではないかというのが、書き手として大変だけれども、目指さねばならない領域だとも思うのです。

ストーリーは直線かつ直接的、物語は曲線やループ的かつ間接的

ストーリーを重視するなら、美味しいところだけ、分かりやすいところだけをお伝えした方がいいように思うので、数字や具体的な固有名詞なんかが力を持つような気がします。「ストーリー展開」というように、変化のつけ方やアイディアが秀逸であれば評価されやすく、また分かりやすいので読解力もそこまで必要じゃないですが、類型や飽きるのも早い傾向があり、違いが付けにくい印象です。
作るのはこっちの方が比較的簡単でしょうかね。

物語にしようと思うなら、苦みや渋みもそのままにして、丸ごと伝えないと、いい解釈というのはできないのかなと思います。
どんな物を持ってくるのか、どんな傷や渋み、苦みを持った物を持ってくるのか。それを持ったキャラクターはどんな反応をするのかなどなど、解釈の余地を沢山散りばめられているかどうか、含みはどのぐらいあるのかが物語としては重要なように思います。

素材の味ではなく、皿の盛り付け方や細工も含めた部分で勝負しつつ、ネタの鮮度でも勝負できればより凄まじいというのが、物語のポイントなのかなと思います。

いいところも悪いところも丸ごと発信、伝えていける「物語」のスタイルなら、全く同じというのは難しい。
分かりやすい部分だけで比較されにくいということは、ビジネスの上でも使えるのではないかということで、「ストーリー」よりも「物語」といったフレーズを大事に使っている、というのが個人的な偏見に基づくこだわりの一つでしょうか。

「美味しい部分だけ」で勝負してしまうと同じ物が出てきたり、似たような物が出てきてしまいますが、苦みの部分や渋みの部分、固有の雑味の部分もひっくるめると同じ物って基本的にないはずですから、その「多様性」を伝えて、雑味の部分で覚えてもらえるような伝え方、ブランディングの仕方をサポートできれば、レッドオーシャンに見せかけたブルーオーシャン、オンリーワン戦略が取れるのではないかと考えていたりします。

要素ストーリー物語
イメージ直線的
顕在的
曲線的(馬てい形、円形)
潜在的
物語の構造起承転結神話の法則
読者の反応理解解釈
筆者のスタンス
(私の偏見)
説得納得
重要な要素プロット
ストーリー展開
描写力
メリット1.美味しい部分だけ伝えられる
2.分かりやすい
3.真似しやすい
4.作りやすい
1.丸ごとで勝負できる
2.「分かる人」を特別扱いできる
3.真似しにくい
4.長く使える

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.06.28

2018.04.30

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