「物語」にこだわる理由

2016.06.30

ストーリーではなく、「物語」にこだわるのは何故なのか。
自分で考える、仮面ライターが存在する意義を絡めて解説してみました。

この記事は 約 6 分で読めます。

, ,

こだわる理由1 自分の生存戦略

Web制作の事業者や、ライターと呼ばれる人たちは自分以外にも大勢いる状況です。
スキルやノウハウもはるかに優れた方々が沢山おられる中、自分の持っているもので勝負しようとすると、「物語」を書こうと一所懸命にやってきた経験や手法しかないと思ったのが最大の理由です。

他の人と感性が少し違うからか、事実や情報を伝える新聞記事や雑誌記者、よくいるブロガーさんのような文章は得意ではなく、取材力もたかが知れているので、通常のライティングという部分では勝負できる状態ではありません。
奇抜な発想をするほどの読書量もなく、「ストーリー展開」といった部分でも強みと言えるほどのものはないため、多少なりとも勝負できそうな部分を見つめていくと、「描写」や「キャラクター性」といったところに行った方が勝ち目があるのではないか、ということで「物語」にこだわっています。

また、なんらかのノウハウやワンポイントテクニックを学んだだけで一朝一夕にできる領域でもない、「職人芸」の部分が多いこともあり、「習得に時間がかかる」という参入障壁もあるので、マネされたとしても一日の長はあるだろうなという要素もあります。

こだわる理由2 相手の生存戦略

相手、お客さんの生存戦略的にも、「物語」というのがポイントになってくるのではないかと考えています。

それというのも、『明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法』(佐藤 尚之著 講談社現代新書)といった書籍が出るように、情報が「伝わりにくい」時代になってしまったという前提があります。

特に、マスメディアを利用することに比べれば低コストで情報発信をすることができたはずのインターネットから、一般の消費者、一般の生活者へ情報を届けるのには、幾つものハードルが存在する時代が訪れています。

日常的に検索サイトやSNSを利用してくれる人口が、そもそも日本全体の半数程度で、日常的に利用してくれる人たちの情報感度、情報リテラシーというのは凄まじい勢いで磨かれているため、直接的な表現や従来の伝え方では「ウソじゃないの?」と言われてしまいやすい状況になっています。

利点を伝えて、低コストで売上をあげたい事業者さんにこそ、インターネットやSNSというのは強力なツールだったはずなんですが、「売上をあげたい、買ってくれ」と(いった要素を匂わせるようなレベルで)直接的な情報発信ばかりをすると、むしろ売上につながらなくなるという現象が当たり前、というようなことが『伝わらない時代の〜』に書かれていますので、ぜひ一度お読みいただければと思います。

また、インターネットを日常的に利用しない層は高齢者や、いわゆるマイルドヤンキーと呼ばれる人たちで、お金は持っている人たちではあるものの、あまり複雑なものや新しいものを買おうとする人たちではないように思います。
従来の商品、みんなが持っているものは購入してくれる可能性があるのですが、そういったものは、弊社のお客様になりやすい新規事業者や小規模事業者では提供しにくい商品やサービスなのではないかなというのが、個人的な偏見です。

Webサイトや広告の「ストーリー」や「お客様の声」のようなものを読んで、辛うじて買ってくれそうな人たちは、おそらくあまり可処分所得のある人たちではなかったりするので、せっかく掴んでも一回しか利用していただけなかったり、サンプルの利用だけで終わってしまって、十分な利益の上がる商品やサービスというのは買ってもらいにくいのではないかとも思っています。

従来とは違う表現の仕方、従来ではアプローチしにくかった層に対して、従来とは違う角度のやり方をした方がいいのではとなると、日効率的すぎたり、職人芸すぎたりしてあまり手を出してこなかった、「物語」を解釈することによる「納得」ベースの商品・サービス提案というのがいいのではないか、というのが物語にこだわるもう一つの理由です。

また、「いい部分だけ」を伝えてしまったり、「ストーリー」だけを伝えてしまうと、他者との違いの部分も少なくなってしまい、独自性が薄れてしまう恐れもあり、事業者としては他所と全然違うと思っていても、一般的な目からは「違いがわからないから、安い方を買う」と価格競争になってしまいかねないのかなというのが、正直に思うところです。

コストをかけすぎずに、無理なく売上をあげてもらうヒントが、「物語」に詰まっているのではないかということで、お客様のビジネスが生き抜いていくためにはこのやり方でないといけないのではないか、と思っています。

こだわる理由3 ささやかな抵抗

パッと見の生産性や効率を求める流れや、分かりやすいもの至上主義的な流れに戦ってみるための手段として、「物語」にこだわろうとも思っています。

「物語」を作るのも、その力をつけるのも非常に非効率的です。検索すればできる、といったものでもないですし、一通り理解すればできるというものでもないです。
いわば、「修行」みたいなものが必要になるところで、だからこそ独特なアウトプットに至れると考えています。

目に見えにくい部分ではありますが、「見えない部分の豊かさ」といったものも、これからの時代には大事になってくる、大事にしていきたいという思いもあって、「物語」という面倒くさいやり方にこだわっています。

また、「物語」を魅力的にするには、今までは出したくなかった部分を外に出してもらうことにもなったり、一般的にはセオリーと思われていることの反対に進んだりもする、半ば冒険の要素も多々あるので、自分にも相手にも勇気が求められる手法でもあります。

世間一般、多数派の流れに逆らって、本当に必要なやるべきことをやる。
そのための「物語」、そこにこだわる自分自身なんだと思っています。

ある意味、最後は仮面ライターの存在意義、みたいなところでしょうか。

自分の生存戦略、相手の生存戦略、仮面ライターの存在意義。
この3つのために、今までもこれからも「物語」にこだわっていきます。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.06.30

2018.04.30

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress