納品しないWeb制作を選んだ理由

2016.07.02

「納品しないで、ダラダラ作りましょう」と、ちょっと変わった制作スタイルをとっている理由を改めて見直してみました。

この記事は 約 6 分で読めます。

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そもそも、どんなスタイルで制作をしているのか

直接のヒントは、『「納品」をなくせばうまくいく ソフトウェア業界の“常識”を変えるビジネスモデル』(倉貫 義人著 日本実業出版社)。

「納品する」という部分に向けて、作る側も発注する側も負荷をかけてお互いに損をするというか、傷つけあってどっちも欲しいものを得られないというのが、Webサイト制作の現場でも起こってるように思ったのがきっかけです。

特に、個人のお客さんや作り慣れていないお客さんが相手だと、「納品」するまでにお客さんを待ち続けることも多く、変更のたびに時間がかかっても、「納品する商品やサービス」の分の料金しか請求できず、作る側としては結構なリスクを抱えている状態です。

着手金をたっぷりいただけるようなお客様はほぼよそへ行くというのもあり(笑)、価格を抑えながら、お互いにWin-Winな関係を目指そうとすると、どうしても「作って終わり」の関係はよろしくないなと思い、明確な「納品」はしないで月額の固定や変動で契約するような形の方がいいんだろうなというのが、元々の考え方です。

そこから、作ったあとのサポートなんかがWebサイトには特に必要だというのもあり、納品しないスタイルをもっと追求してみようかなと思ったのがきっかけでもあります。

理由1.折角やるなら、「ずーっと長く」がいい

私は、臨機応変が苦手な、スロースターターなタイプです。
急な変更に納得する時間を要したり、忘れたことを思い出して作業にとりかかるのに、時間やエネルギーを要してしまいます。

また、個人的な理想の形を考え抜いて、進め方も含めて自分のペースでゴールを目指してしまうマイペースな人間でもあるので、「途中まででいい」とか「え、そこで終わっていいの?」といった自分で納得いっていないゴールを引かれてしまうと、どんどんやる気とスピードとクオリティーとがダウンしていく、面倒臭い人材でもあります。

気持ちの部分や消化不良の部分で時間(=コスト)を割くのは、お客様に取っても不本意な成果物にしか繋がらないので、納期を設定して短期間で作って終わるを繰り返す、というやり方にはあまり向かないのだろうなという思いもあります。

今のところベストパフォーマンスを発揮しやすいやり方だろうと思うのは、小さく作って大きく育てるような作り方です。
時間をかけて「長く使ってもらえる成果物」をお届けする仕組みじゃないだろうかと考えたので、納品しないWeb制作という形を試している次第です。

理由2.理解し合う時間が必要

二つ目の理由は、メッセージの中身やコンテンツのためです。

「物語」を作るお作法を引っ張ってくると、「欠点のある人物」の方が魅力的になるという手法があります。
企業やブランドでも似たようなところがあるのではないかと実践しようとすると、あまり外には出したくない部分や自分で認めたくない部分を、私に伝えてもらったのちに、世間にさらけ出すという行程になってしまいます。

いずれも、非常に勇気のいる行為で、短時間ではできるものではないだろうと。
腹の底を語ってもらって、真意を納得していただく、飲み込んでいただくには時間が必要じゃないかというところで、少しずつ関係性を深めていけるようなやり方はないだろうかと思って導き出した答えが、納品しないスタイル、という面もあります。

また、Web制作というのは、作る側も発注する側も「考える」時間が必要になります。

形になっていないものを考えたり、見た目を決めたり、普段意識していないことを言語化してみたり、お客様に素材となる情報、思考をまとめて頂く時間が必要になるのですが、導き出された答えに対して作る側は、Webのセオリーや伝える相手となる一般消費者、生活者の変化なども伝えて、表現を調整していくという時間も必要になります。

作り慣れた担当者同士であれば、スムーズにバンバン作っていけますが、弊社のお客様はそういった方ではないことが多いので、一つ一つじっくりと時間をかけて作っていかなければならないという事情も出てきます。

また、制作事業者側も、お客様のことやお客様の事業そのものをキッチリ把握できていないと、的外れな提案をしてしまって鳴かず飛ばずの成果物を残してしまうということもあるので、お互いに理解し合う時間、考えていることをぶつけ合えるだけの、「腹を割って話せる」関係になる時間も必要になる立とうということで、あんまり短い時間で一気に作ってしまおう、ということは考えていません。

ただ、そうなると一気に請求してしまうと凄まじい費用にもなってしまうので、長く使ってもらえるWebサイトを少ないご負担で作っていくには月々の料金を頂いて、二人三脚でじっくり考えていく方がベストなのではないかとも思っています。

理由3.作ってからもサポートしたい

「納品」を制作側のゴールにしてしまうと、「納品して請求かけたら終わり」ということになります。
納品した後、保証期間的に修正対応をする事業者もいるかとは思いますが、たいていの場合作ったらお役御免、次の仕事というのが基本のサイクルじゃないかと思います。

しかし、「納品」された側は納品されてからがスタートです。
制作に投じた費用を回収する、あるいはそれ以上に事業が発展すること、利益を出していくことがゴールのはずです。

納品されたものを活用して、利益を上げられるかどうかは確かに発注者側の業務であり、責任ではあります。
ただ、どのように使えばいいのか、使うところのサポートもないまま放り出されたのでは、次からお声がかからないばかりか、納品した側も実績としてアピールしにくい状態に陥ります。

ましてや、我々の売り上げの原資というのは、お客様の利益の一部であり、お客様の資産を分けていただくわけで、自分たちが利益を上げるためであれば、「そこから先は知りません」ではいい関係は築けないのではないかと思うのです。

元々、デザインを強みにする制作者ではなかったこともあり、ポートフォリオとしては作ったWebサイトが稼働していることが望ましいというのもありましたし、「出したお金は回収できる」という営業トークをしたいというのも理由ではあるのですが、お客様が無理なく収益を上げて行った先に、自分たちの利益もある、使う部分でも責任を負ってお手伝いしてあげたほうがお互いにメリットがあるのではないだろうかという発想で、長くお付き合いできるような形はないだろうかと、現在の形にたどり着きました。

自分だけが儲ければいいとは思えず、関係を持った方々が儲かった上で自分も儲けさせてもらえる、「利他」の精神で。
また、変化を求める方に無理を強いることなく、お互いに敬意をもって付き合う関係を築いていける状態を求めて。

その先に、お客様の手元にはいいツールが残っているという状態を目指して、今後も事業をしていけたらなと思っています。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.07.02

2018.04.30

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