『なぜ正直者は得をするのか 「損」と「得」のジレンマ』

2016.07.26

正直者はバカを見るのか。人は本当に合理的なのか。経済的に不合理と言われ始めて久しい気がする昨今、利己主義について割とまともに解説しているような気がする本書について、語ってみました。

この記事は 約 3 分で読めます。

藤井 聡著
幻冬舎新書

著者の藤井さんといえば、大阪都構想反対派の筆頭というイメージ。
個人的には大阪都構想は賛成派だったので、相容れない部分も多々あるという前提で、本書を語ってみる。

自分の利益だけを追求すると、かえって損をする

「人間は必ずしも、利己的な存在ではない」というところから、その後の話が展開していく。

自分のためだけに、合理的に得を得て、損を避けるような行動をとり続けると、村八分にあったり、信用できない人物として集団から追いやられてしまうようなことに繋がるという。

利己主義者は、自分の得のためだけに行動しやすく、他人を信じて協力することは難しいというのも要因としては大きいようだ。

得をしよう、得をしようと行動すればするほど、目先の利益を得ようとお金を追えば追うほど、お客さんや人が離れていくというのも、飲み込みやすい主張に思う。

自分の利益のためだけにガツガツしている人物よりも、相手のことをきちんとみて、相手のために何かを提供したいという利他的な人の方が長い目で見て発展していきやすいというのも、そんなに変な主張でもないと思う。

利己主義者は集団を滅ぼす

本書で特に衝撃的なのが、このくだり。

「共有地の悲劇」と呼ばれる、正直者、利他主義者が損をする現象があるという。
利己主義者は、みんなが守ってきた慣習やルールを破り、一人占めするような形で莫大な利益を上げて、その市場、その共有財産を使って利益を得ていた他の人に損をさせるという現象があるという。

この現象も、理解し難いお話ではない。
一人だけ儲けようという人物のために、大事にしてきた市場が荒らされて、結果的に一人だけ暴利をむさぼる形になり、他のルールを守ってきた人たちが悲しい目を見るというのは、ざらにある話でしょう。

ただ、だからといって、「構造改革」や「規制緩和」が悪いというような主張はちょっといただけない。
変わる市場に合わせて、周りも変化をしていくことが大事なのであって、拝金主義に陥らないように変わらなくていい、という主張は個人的には同意し難い。

また、そういったズルをする人たちのおかげで、その周りにある集団自体や組織が信用や信頼を失い、全体が滅んだり衰退していくという話も、納得はできるものの、だからと言って昔のままなら限界集落は無くならないという主張も、さすがに難がある。

貧乏でもいいから、相互扶助で変わらない毎日を過ごして滅んで行きましょう、というのは無理がある。
ズルを励行するつもりはないけれども、変化を生みだしながら、変化に対応して生き残っていく、新陳代謝を発揮するやり方はあるはずで、そこを見つける努力をしなきゃいけないんだとは思う。

結局、短期的な目先の利益を追うのは良くないということ

藤井さんの、いわゆる「リベラル」っぽい「変わらずにいましょう」という主張は相容れないものの、自分だけ利益をあげればいいというやり方ではいけない、集団を滅ぼすよという主張、解説はその通りだと思う。

目先の利益、自分の利益だけを追い求めると、自分の損はもとより、集団の損を引き寄せる貧乏神になってしまうから、周りから人がいなくなり、損だ得だというドライな人だけに囲まれる潤いのない人生が待っているよ、というのも納得しやすい主張に思えた。

利潤追求は忘れないまでも、それだけを追いかけないこと。
誠実に、世間のため、相手のために汗水流して働くことが、長い目で見て得をする唯一の道なんだということなんだろうなと、思った次第。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.07.26

2018.04.30

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress