『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか ーースペイン サン・セバスチャンの奇跡』

2016.07.27

オープンソース化して、創造的破壊への恐怖に打ち勝つ方法、打ち勝った例を「料理」で解説したように思う書籍を語ってみました。

この記事は 約 4 分で読めます。

著者高城 剛
出版社祥伝社(祥伝社新書)

著者の高城剛さんといえば、沢尻エリカの元旦那。ハイパーメディアクリエイター。

この書籍は、数年前の「West Booster」というイベントで、gumiの國光さんがオススメしていたので手に取った書籍。
以下、ゆるゆると書きちらしてみます。

料理で注目される、スペインの小さな街

タイトルのサン・セバスチャンという街は、スペインの北部バスク地方にあるという。海の幸、山の幸に恵まれた豊かな自然の美食の街で、小さな街ながら料理にまつわる格付けで上位に入る名店がいくつもあると高城氏は語る。

元々、美味しいものが多い街だったというが、本格的に「美食の街」を目指したのは、行政や街ぐるみでの観光都市としての整備運動と、数年前にフランスで起きた「新しい(フランス)料理」を生み出すブーム、「ヌーベル・キュイジーヌ」が入り込んできたため。
スペイン語では、これを「ヌエバ・コッシーナ」というようだ。

元々、フランスに近かった土地柄のため、越境して料理を学びに行った人がいたりしたようで、伝統に根ざしながらも革新していこうとするムーブメントも、当たり前のように流れ込んできたらしい。

しかし、料理人に伝統的な閉じた徒弟制度、「見て盗め」というやり方までは輸入せず、全く新しいやり方を持ち込んだことが、街の美食レベルを上げることに一役買ったらしい。

それが、オープンマインド。自分で知っているものを共有し、互いに教えあうというスタイル

レシピを共有し、知識を共有する。「オープンマインド」で高まる「新しい料理」

レシピを誰もが読みやすいように、化学式のような形で書き残してみたり、新しく導入された科学的な調理方法もどんどん取り入れていき、革新を起こしてみたり、世界各地で学んできた知識や自分が見出したアイディアなんかも惜しみなく周りに伝え、互いに高め合うというスタイルでサン・セバスチャンの食文化はどんどん向上していったという。

そして、そういったものを偶然学ぶのではなく、学ぶ場や学べる仕組みをしっかりと用意し、アカデミックな環境も整えていったという手法も、やはり特筆すべきところではないだろうか。

街全体、行政も含めて、料理を文化として、学問として、ビジネスとして高めていこうという強力なバックアップと、オープンマインド、みんなで高め合うという手法とが上手くマッチして、サン・セバスチャンは美食の街に変化していったようだ。

志ある教える人と、「いま」を学ぼうとする文化、伝統を守るという姿勢、知的財産として確立しようという気運、行政的な仕組みとが、街の発展、業界の発展にもつながったという素晴らしいモデルケースではないだろうか

観光立国を目指すにはどうするかという提言もちらほら記述されてはいるが、そのあたりは月日が経つにつれて古くなる部分もあるだろうし、この記事で言及したい部分ではないから割愛しておく。

料理学校を立ち上げたルイス氏は、「ここ(学校)で習う大切なことは、料理とは味より愛であり、その地を愛し、お客様や共に働く仲間を大切にする気持ちです。技術やビジネスは二の次なのです」(本書 112ページより抜粋。一部補足)と高城氏に何度も語ったようだ。

料理を学問にする上で立ち上がった四年制大学でも、技術を見るよりもパッションを見るようにしているようだ。
また、サン・セバスチャンという街を変革していく上でも大事だったのは、パッションだったらしい。
いかにパッションが持続するか、いかに持ち続けるかというのがより重要だったようだ。

静かに燃え続けるパッションを胸に抱きつつ、自分たちの身の丈といまという時代を知り、温故知新に励む。
オープンマインドで互いに教えながら高め合う。

町や地方、業界を復活・活性化させるのは、そういうやり方しかないようだ。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.07.27

2018.04.30

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress