『ビジョナリー カンパニー 時代を超える生存の原則』

2016.07.27

ピーター・ドラッガーの『マネジメント』、デール・カーネギーの『人を動かす』などに並ぶ、著名な書籍(だと思っている)、ジム・コリンズの『ビジョナリーカンパニー』。『ビジョナリーカンパニー』シリーズのうち、最初の1冊目について、思うままに書いてみました。

この記事は 約 5 分で読めます。

著者ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス
翻訳者山岡洋一
出版社日経BP出版センター

プロダクトのライフサイクルを超えて生存する組織を研究した書籍

組織に関する書籍としては、著名な一冊。
よく読まれているのはシリーズの二冊目『ビジョナリー カンパニーII』。そちらもいつかまとめるとして、その下敷きになっている原則の部分を幾つか拾い上げられればというところ。

著者の二人は、一定の基準で「ビジョナリー」な企業と「ビジョナリーではない」似たような企業とをピックアップし、近い企業を比較しながら、時代を超えて生き残っていく組織に共通する要素を見つけ出していく。

詳細な内容や全部については、本書を読んでいただくとして、個人的に面白いと思った部分に光を当ててみる。

優秀なカリスマよりも、優秀な組織を残す建築家であること

人の寿命や主要な製品のライフサイクルを超えて生き残り、華々しく活躍する企業、ビジョナリーカンパニーを作るのに必要なのは、その時代に優秀な一人のリーダーではなく、人が入れ替わっても優秀であり続けられるような組織、その土台を作れる人を連れてこれるかどうかにかかっていると、著者は指摘する。

カリスマなリーダーがビジョナリーカンパニーを残せないとまでは言わないものの、ビジョナリーカンパニーを残す人たちは、自分の功績よりも組織を残していくためにどうするかを必死に考え抜いてきた人の方が多いようだ。

時には自分を抑えてまで、組織のためにその身を捧げられるような人でなければ、時代を超える組織というのは残せないようだ。
ちなみに、そのあたりの詳細はどちらかというと『II』の方に書いてあるのでそちらをご覧いただければと思う。

ビジョナリーカンパニーの最高の「製品」は、企業・組織や企業文化そのものである

本書の出版時点では、ソニーもビジョナリーカンパニーの範疇に数えられているが、ソニーの最高の製品は個々のプロダクト、トランジスタラジオやウォークマンなどではなく、その企業文化、ブランドであるというのが著者らの主張である。

最近のIPOを目標としているスタートアップ企業は、個別のサービスや商品に注力して、稼ぐ力を見せつけていく企業が多いように思うが、そういったスタイルでは、長い時間は生き残っていくような組織にならないらしい。

資金調達を繰り返し、数字を作って上場してゴール、のようなやり方は個人的にもあまり好きではない。
せっかくやるのなら、時間をかけてでもちゃんとしたものを残す方が合理的だと思ってしまう。

やはり、企業や組織をしっかりと世に残せるような人生を送りたい。

基本理念に重きを置く

その企業の存在意義、その企業らしさとは何かを利益よりも重視しているのが、ビジョナリーカンパニーであるという。

この基本理念は、現場の社員にまで浸透するように、カルト集団チックな教育も行われるぐらいに大事なことであるという。

トップから新入社員まで、同じ理念に基づき行動していける組織がビジョナリーカンパニーになれるということのようだ。

ただし、ビジョナリーカンパニーには、「ANDの精神」があるらしく、短期的な利益を犠牲にして理念を取るというようなことはしないらしい。
経済上の目的を超えた基本理念は大事にしながらも、理念「と」利益の両方を同時に追求していくことも大事にしているのが、ビジョナリーカンパニーだという。

ちなみに、この基本理念というのは、基本的価値観 + 目的でできている。

ここでいう基本的価値観というのは、は、組織を貫く一貫した価値観と企業の存在理由のこと。
単なる目標や戦略と混同してはならない。

基本的価値観、企業や組織の「あり方」が定まっていることがビジョナリーカンパニーにとっては重要だと著者らは繰り返し主張する。

守り通すのは基本理念のみ。他はどんどん進歩させていく

維持すべき基本理念は大事にしながらも、大きな進歩を促す挑戦に果敢に挑んでいけるかどうかが、ビジョナリーカンパニーであり続けられるかのポイントであるという。

変えてはいけない部分を持ちながら、それ以外は思い切って変えて進歩していく。その両方を成り立たせるような「ANDの精神」が進歩といった領域にも貫かれている。

次世代の幹部は内部から育て上げる仕組みを持っておく

基本理念を引き継いで企業を進歩させていけるように、その文化をしっかりと叩き込む教育システムが出来上がっているのも、ビジョナリーカンパニーの特徴のようだ。
外部からいきなり連れてきて、表面的な利益や文化を分かったフリをされてしまうと、それまではビジョナリーであったのに、企業全体がダメになるか、新参者がその場を追われるかのいずれかになる運命のようだ。

何世代にも渡って進歩し続けるには、人の寿命を超えて生き残っていけるやり方を仕組みにしておかなければならないと、著者は主張する。

つまり、時間を超えて引き継いでいける仕組み、システムをいかに残していけるか、いかに思い切って更新し続けていけるかが、ビジョナリーカンパニーになれるかどうかの境目ということのようだ。

あり方や理念が定まった上で、利益を上げるために働く。それも、理念を忘れないように全員が一糸乱れぬ行動をとりながら、細かい部分では多様であったり、自由であったりできる懐の深さも用意できるかどうか。
束になる一体感と共に、個々が生き生きと行動できる枠組みと。両方をきちんと仕組みとして用意しておけるかどうか。

そういうことをしっかり考えながら、少しでも長く生存していける企業や組織作りに携わってみたいなという、身の丈オーバーなことを考えてみる夏の夜でした……。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

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