『21世紀の資本』を読んでみて 『21世紀の資本』を読んでみて

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著者トマ・ピケティ
翻訳山形浩生
守岡 桜
森本正史
出版みすず書房

2014年12月に出版されて以来、注目されてきた書籍。
解説の書籍や反論の書籍も出るぐらいなので、ここはあくまでも個人的見解を軸に述べていこうと思う。

なぜ、解説書や入門書が必要なのか?

その答えが「分かりにくい」のだとすると、それは途中に挟まれる数式やデータの細かな動きを把握したり、整合性を考慮したりする必要があるからだったり、歴史と経済というよりは、歴史と金融といった感じの内容のおかげで不慣れな領域を行き来してしまったりするからだろう。

前者に関してはこの際、大づかみの解釈でピケティが正しいとしてしまえば細かい部分は追いすぎなくていい。
後者は一度、先日紹介した『国家はなぜ衰退するのか』を一読いただいてからだと、掴みやすいかもしれない。

当時の歴史や、経済と政治の関係をつかんだ上で本書に挑んだほうが、理解がしやすいような気がする。
あくまでも、気のせいだろうけど

大づかみに読んでみて思ったのは、「低成長を望むエリート層がいるらしい」ということ。

他の書籍などでも指摘されていたことや、事前に見聞きしたことも総合すると、「誰が富、誰が貧するかはルールが決める。そのルールを決めるのは、一握りの権力者である」ということ。

本書でも、そこについては概ね乗っ取った上で金融資産、金融資本の動きが語られているように思う。

独自に見えてきたような樹がするのは、公債や国債と減税効果の関係。
高めのインフレを達成してしまうと、債権を買った側があまり得をしないようになっている、と書かれているように思ってしまった。

再分配に寄与するらしいが、債権を買えるだけの資本を持っている層にも利益をもたらす仕組みではあるものの、あまりに声量率が高くなってしまうと利回りよりも再分配の度合いが高くなってしまい、資本を抱えている層の足元を揺るがしかねない状況を招くかも、と語っているようにも捉えてしまった。

つまり本書でも、富裕層、エリートたちは固定化されたまま、一般大衆から「生かさず殺さず」金を吸い上げるような仕組みが敷かれていると言っているように思えてならない。

パナマ文書も考慮に入れてみる

労働、生産からの所得よりも資本が資本を増やす方が利益が出るのは仕方がないとして、所得税が累進課税というのも構わない。
しかし、それでタックス・ヘイブンのようなことをされてしまうと、富裕層からきちんと税金を取ることができない。

ましてや日本では、「真面目に働かなくなるかもしれない」ということで導入された経緯があるらしい消費税は逆進課税になり、ますます下々の生活を縛り上げるような形になっている。

そうかと言って、資産税のようなものを導入しようとするのなら、半分以上を持っていかれる相続税をなんとかしないと国内の富裕層はどんどん海外へ逃げていくような気もする。

生かさず殺さず一般大衆、貧乏人から金を巻き上げながら、政府とタックス・ヘイブンに金を集めつつ、富裕層は富裕層で十分なお金を弄び階層の固定化を狙っている。こんな世界で、本当に面白いのだろうか?

暇を持て余した本物の名士たち

しかし、自分の身近にいる本当に教養のある上流階級っぽい人達は、「今の世の中が面白くない」とか十分な不労所得やわずかな労働で十分な所得が得られる環境にいるにもかかわらず、新しいことを学ぼうと従業員の世界へ戻っていこうとする人もいる。

成金がうじゃうじゃ増え始めた今の状況を芳しく思っていない、本当に力を持っている方々もいるようなので、その人達の声もしっかり胸に秘めながら、なすべきことをなしていこうと思う、今日この頃です。

長谷川 雄治

長谷川 雄治はせがわ ゆうじ

2013年から、仮面ライターを掲げて活動中。
物書き&Web制作、コンサルティングが本業だと思い込んでいる、ただの変な人。