『人体600万年史 科学が明かす進化・健康・疾病』

2016.08.02

人類はいかに進化してきたのか。今のミスマッチはなぜ起きているのかを綴った書籍。
人類史にまつわる書籍がバチバチとまとまっていったような感覚を覚えつつ、その感覚が少しでも伝えられるように整理してみました。

この記事は 約 5 分で読めます。

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著者ダニエル・E・リーバーマン
翻訳塩原通緒
出版早川書房

別の書籍、『GO WILD』(Amazonの該当ページ)を読んで、人間が長距離走に向いていることや、運動の多様さなどが繁栄に貢献したというのを少し覚えていて、本当だろうかと読んでみた書籍。

病理に関する部分はそれほど興味がなかったので、後半は割愛気味にまとめてみる。

遠くのものを手に入れようとして進化が始まった

人が立ち上がったのは、高いところにある食べ物を取りやすくするためで、直立した二足歩行を始めたのはより遠くまで食料を探しに行けるようになるためだという。

類人猿に見られる「ナックル歩行」よりも消費カロリーが少なくて済み、バランスを維持しながら効率良く歩けるようにどんどん自然選択が働いていったのが、今の人類が二足歩行をしている理由の一つなんだとか。

住んでいた地域や地球全域における気候変動に対処するために起こった変化はやがて、木登りの能力を失い、より遠くへ歩けることを優先し、やがて果物だけではなく、肉や地下茎を食べるように変化していったようだ。

上半身は、モノを投げる能力も獲得し、鋭い投擲で獲物を獲得できるようになり、おそらく投擲で獲物をしとめるために備わった未来予測という習慣が、脳を変化させるために一役買ったのではないかと個人的には思う。

コストの高い大きな脳と、大きな脳を活かすための自然選択

やがて、人の脳は消化器官と同じ重さを持つようになる。
それは、「調理」といった習慣や「火」を扱える能力も相まって起こった自然選択だったようだが、気候の変動により採集だけでは保たないだけの人口を抱える集落が出るようになり、次第に農業が始まるようになるという。

集まって食料を分け合う協力をすることで生き延びやすくなるという自然選択を働かせ、安定的に繁殖していくために農業が始まると、徐々に文化といった部分にも力が入っていくようになったようだ。そこから先は、『銃・病原菌・鉄』や『国家はなぜ衰退するのか』、『破壊する創造者』を併読いただいた方が発見が繋がって楽しいことになると思う。

旧人類との違い、「遊びと文化」

新しい技術や発見を取り入れる柔軟性や、それを独自に発展させていく想像力や創造力を生み出す脳を得た現生人類が、ネアンデルタール人に打ち勝ってしまい、増えた人口が必然的に旧人類を駆逐してしまうことになる。

人類の進化の過程でも、「革新」とそれに抗う人たちの運命みたいなモノを見てしまった予感。
また、仮想度の高い遊びや文化といったモノが、人類にもたらした影響の大きさ、それを本質的に感じていくことの重要性みたいなモノも、ここから見出せたような気がする。

密集することで農業が生まれ、農業が生まれることで発展していく

集まって暮らすことで、いろんな技術や考え方が生まれて文化的な革新が加速度的に高まったり、未知のウイルスによる疾病が起こることで他を駆逐したり、身体の内側ではゲノムの書き換えが起こったりして、現生人類の進化はどんどん進んでいくことになる。

そうやって出来上がった現代、どんどん栄養を取りやすいように加工された食品や、無駄にカロリーを消費しなくてもいいような環境が出来上がったり、繁殖には有利なのかもしれないけれども、同時に身体を蝕む構造も出来上がってしまっている。

それでも、集まって暮らすことをやめることもできず、革新をやめることもできずに今に至るのだけれども、大事なのは「多様性」と「数字だけを見ない」ことにあるような気がする。

カロリーや糖分といった部分だけを見た場合、細かな種類の差は関係なしにブドウ糖も乳糖も一緒くたにしてしまうけれども、本当は別の作用を引き起こす栄養素だったり、脂肪酸についても明らかな悪者や明らかな善玉といったものもなく、全ては決まったラベルで判断できるほど簡単ではないのに、簡単に見せかけた部分だけを追いかけて楽をしようとしている人たちも出てきてしまっている。

楽な方に楽な方に進んでしまうと、どんどん上の人の進歩ための切り捨てられてしまう棄民の仲間入りをしてしまうことにもつながってしまう。
格差を広げたくて出来上がった社会だとは思えないものの、再分配といったことや下層の人たちを引っ張り上げるような繁栄の仕方も考えていかなければならないような気はする。

また、分かりやすく加工された見せかけの文化や、手抜きの遊び(のようなもの)に興じ過ぎてしまうと、進歩はどんどん遠くなってしまうというのが、歴史の必然のようなので、そういった部分への警鐘や革新を受け入れる環境づくりといったものも、少しでも手をつけられればなと思いつつ、まだまだ自分のことも精一杯という現状の中に身を置いている始末です。

病理の部分は、養老孟司氏の『スルメを見てイカがわかるか!』も併読されると理解は深めやすいかも。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.08.02

2018.04.30

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