『シン・ゴジラ』を見てきた。

2016.08.07

話題の怪獣映画、『シン・ゴジラ』を見てきました。
ざっくりと難癖をつけるぐらいの中身がある映画なので、ぜひぜひ劇場で見ていただければと思います。

この記事は 約 8 分で読めます。

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見てきた人がみんな、「ゴジラすごい」とか「邦画もここまでやれるんだ」と熱く語っていたり、ネタバレレビューで見るソフビも気になっていたので、原爆の日、8月6日に見に行ってみた。

劇場は、イオンモール茨木の映画館。土曜日の昼過ぎというのに、比較的空いている印象。封切り後1週間で6億の興行収入という割には、もう少し客入りがあっても良さそうなのにと思いつつ、最後までじっくり見てみた印象を語ってみたい。

制作費は15億円というウワサ。協力者の数に驚いた

予告でも沢山の著名な俳優が出ていることが明かされていたけれども、本編でも相当な数の演者が出ているのは確認できた。
あんな人、こんな人が割とちょい役レベルのこともやっていたりして、「ゴジラ」ならではのブランド力というのを垣間見ることができた。

また、今回は着ぐるみではなく、3DCGを中心にゴジラを見せていたということから、そちら方面のクリエイターさんや関係会社がかなり力を注いでくれたのもうかがえる。
それ以外にも、幅広い法人、個人、組織が取材協力も含めて動員されているというのはよくわかった。

日本も、やろうと思えばこれぐらいは力やお金を集められるんだなとは思ったけれども、その割には制作費を抑えられたのは、「ゴジラ」の力が大きいんだろう。ゴジラじゃなければ、ここまでの協力は得られなかっただろうし、制作費はもう少し高騰したような気がする。そういう規模の大きさを感じることができた。

「個々のゴジラ像」を全否定した完全新作

昭和シリーズや平成のVSシリーズ、2000年以降のシリーズやハリウッド版など、歴史が長い分、それぞれのファンがそれぞれに持つ、ゴジラへの想い。それらの上で、単なる続編を作ってみたところで非難の的になるだけだっただろうし、そういった重圧の中で、2014年のハリウッド版ゴジラに対するアンサーも作らなければという外圧もあった中で、総監督に名乗り出た庵野秀明氏。その気概と、その苦悩は凄まじいものがあったんだろうと想像してしまう。

そして、どれかの系統に寄ったものを作ってしまうよりも、新しいものを作りながらも、初代の「ゴジラ」へ回帰しようということで出てきたのが、今作のゴジラや今回の脚本のように思える。

これまでのご都合主義や、お約束といったものを極力排して、その上に新しいゴジラを打ち立てる。それには、とにかくリアル志向で行くしかないという方向性や、無駄を取り除こうとしたのもよく分かる。
何せ、そういったものは過去には「ウルトラマンティガ」で、「仮面ライダークウガ」で「平成ガメラ」でやろうとしたのと同じ手法だからだ。

徹底して取材して、十分な考証を経た上で、今回はとにかく「ゴジラ」に焦点を当てる。
周辺の物語に力や尺を割いて仕舞えば、その瞬間には要らぬ反発を生む。それを避けたかった結果がこの形なんだろうなというのが、個人的な推測。

物語としては物足りない

2014年のハリウッド版も、どちらというと「実際に怪獣が出たらこうだろう」というシミュレーションっぽい感じはあったものの、その流れもあってか、カウンターである「日本のゴジラはこうだ」という本作もシミュレーションっぽさが前に出てしまった。
「虚構vs現実」というコピー、コンセプトもあってか、物語としては薄味の印象もある。

微妙なミステリーやメッセージ性はあったとしても、主人公は成長しないし、非効率な組織体系は結局変わらないし、とにかく「ゴジラの起承転結」であって、物語としての「シン・ゴジラ」の起承転結を収めたものではなかったように思える。

「ゴジラ」だけに焦点を当てれば、形の変化や発展、そして一旦無力化されるまでと次へ謎を残す、という「起承転結」は見えるものの、それに対処する周りの人間にはそういった動きはほとんどない。あくまでも日常の積み重ねの範囲で、少し動きがあった程度。存分に物語が盛り上がったとは言い難い。

ここの薄さは、もう少しなんとかしたほうがよかったのではないかという想いは残る。

フィクションっぽさを残すリアルさ

今作を見て思い出すのは、従来の警察ドラマに対する「踊る大捜査線」であり、ロボットものの中での「エヴァンゲリオン」といった、「リアル」とは名ばかりの、微妙なフィクション、ファンタジー性を保有する物語じゃないかと個人的には考える。

カット割りや表現などが割とそちらに寄っているような感じもあり、庵野秀明氏が「エヴァンゲリオン」や『巨神兵東京に現わる』でやりたかった数々の特撮を今作でやってみた感も強い。

そういったことも加味すると、「ゴジラ」としてはますます微妙ということになってくる。

「ゴジラ」としてみた場合の注文

やはり、3DCGでは物足りない部分がある。
3DCGでなければ、あれほどの攻撃をゴジラにぶつけることはできなかっただろうし、「3DCGはダメだ」と主張したいわけではないが、着ぐるみでなければ出せない味のようなものはやはりあるように思っていて、その辺りが難癖の一つ目。

もう一つは、熱線の扱い方。ならびに、ゴジラの口周り
巨神兵のプロトンビームっぽい熱線だと、このゴジラは生物というよりは兵器に近いものではないかという印象を抱いてしまう。

もちろん、光線っぽく描けと言いたいのではないが、2014年のハリウッド版も熱線に関しては微妙すぎた印象もあって、正直それを上回るような「これだ!」感はなかった。
必殺技感を出せとは言わないものの、ゴジラの見せ場はやはりコレじゃないかと思うと、もう少し力強い感じは欲しかった。威力の高い低いではなくてね。

歯並びはあれでもいいとして、下顎が二つに割れるのもいただけない。
気持ち悪さを出そうとしたのか、蛇っぽさを出そうとしたのかは分からないが、あれではますます「違う何か」でしかなく、「ゴジラ」としては微妙じゃないだろうか。

妙な子供が出てきたり、親子のドラマがなかったりするのは良い点だろうけれども、ドキュメンタリーっぽさを出すのなら、もう少し具体的な一般市民にもフォーカスを当てて、逃げている姿なり、立ち向かっている姿なりを入れて欲しかったとも思う。
群衆の描き方はあれでよかったと思うけれども、個々人の機微に深入りするようなところは、庵野秀明氏が得意ではない領域なんだろうと思うほかない、か。

虚構vs現実と言いながら

「ゴジラ」や「怪獣」という言葉が存在しない世界が、果たしてリアルなんだろうか?
ゴジラはなかったとしても、怪獣の出てくる物語は、「シン・ゴジラ」の世界でも存在していただろうし、なんなら、「ゴジラ」がフィクションとして、娯楽映画として存在している世界を描いてくれたってよかった。
『超ウルトラ8兄弟』で描いたような、「ウルトラマンはテレビで見てた」という世界観を、もう一歩踏み込んでみた形で、歴代のゴジラ作品で出演した人たちを工夫した形でもう少し登場させてもよかったんじゃないか、という想いはある。

ゴジラとはなんぞや、とか、自衛隊の武装がゴジラに効力があるかといった部分、博士の残した研究なんか、正直削ったって話が成り立つ気もするから、その分、オールドファンへのファンサービス的な要素や、人間ドラマの部分をもう少し盛り込んでくれた方がよりきわどい部分を狙えたような気がするんだけれども、そういった冒険は今回できないんだろうなという事情も、分からんでもない。

早い話が、5点満点で3.8点ぐらい

「日本はまだまだ、これからだ」とか「現場は優秀な人がいる」とか、「若者のために国を守る」とか、そういうメッセージ的なところも嫌いではないし、そういったメッセージ性をゴジラに込めるからこその、今回の規模感なんだろうけども、個人的にはゴジラにはそんなもんはいらない。

また、人間側は全く変化がなく、ただダラダラと状況を続けただけに思えてしまって、エンターテインメントとしては今ひとつの印象も残ってしまった。
心に訴えかけてくる何かは特にないし、昨今はやりの「ストーリーでなんとかしてみました」も感じられて、薄っぺらいのもなんだかなというところ。

ミステリーの要素も中途半端で、結局必要だったかどうかと言われると正直いらないレベル。
そういったものに嫌気がさしている層には良いやり方なんだろうけど、物語とするならもう少し踏み込んで練らないといけなかったのでは?

国内では苦戦が続いていそうなここのところの国産ゴジラ、その復活をやるという重圧はあっただろうし、こういういちゃもんをつけてくる一部のファンも相手にしながら、誰もが納得しながら自分の作りたいゴジラを作ったとなると、結局今作の形になるんだろうけども、「ゴジラ」の部分以外は正直蛇足でしかなかったかな。

それでも、これでコナンの最新作が叩き出した興行収入60億円という壁は軽々と超えてもらわないと、本格的に「ゴジラ」が死ぬような気もするし、是非是非みなさんにも見に行っていただいて、ああでもないこうでもない、俺はこう感じたというのをどんどん拡散してもらえればと思います。

個人的にはやっぱり、「VSシリーズ」が好きなんだけれども、あのパターンのゴジラは「vsデストロイア」で完結したというのはわりと納得。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.08.07

2018.04.30

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