『職業としての政治』『職業としての学問』を読んでみて

2016.08.08

マックス・ウェーバーの、タイトルのよく似た著書を2冊続けて読んでみたので、2冊から感じたウェーバーに対する考えなんかを整理してみました。

この記事は 約 4 分で読めます。

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『職業としての政治』

著者マックス・ウェーバー
翻訳脇 圭平
出版岩波文庫

政治を専門とする職業政治家に関する理想と現実とを、ウェーバーが力強く断言している。

近代以前にはあまりいなかった「職業政治家」

中世以前は、王侯貴族や資産を持つエリート、あるいは神官など、政治以外で生計を立てていた人が権力を握っていたモノの、産業革命前後のイギリスやフランスで、民衆の手に主権が移行していくにつれて、政治で生計を立てる政治家が出てくるようになるらしい。

政治を専門とし、政治を主な収入源とした政治家が現れると、それ以前にも存在した権力争いや虚栄心といったモノに振り回される瞬間、それによって民衆が振り回される幅も格段に広がってしまうようだ。

ここで重要になるのが、政治家が将来に対する責任をきちんと負うことと、権力に対して忌避することではなく、きちんと向き合ってその魅力にとりつかれないようにコントロールすることだと、ウェーバーが主張しているように思えた。

権力への欲も、プライドも、いずれも政治家をやるためには必要不可欠なものであり、どちらも十分でなければ、その世界では生き残っていけないが、同時にそれを私利私欲のために使うのではなく、強い精神力で制御しながら将来のために行動できる力を身につけて欲しいと言っているように感じられた。

政治でメシを食うからこそ、高い理想と倫理観を持ちつつ、同時に権力や責任といった現実の部分も担える人物にこそ、政治家をやって欲しいというのがウェーバーの主張にように思えた。

『職業としての学問』

著者マックス・ウェーバー
翻訳尾高邦雄
出版岩波クラシックス

教育者としての職業もあれば、研究者としての職業もある学問の世界。
そこには、その時代ごとの権力を後ろ盾にする必要もあれば、その時代の長いモノに巻かれることも必要であるという。

しかしながら、相手の能力を引き出し、教えていくことが重要であり、自分の考えを叩き込んで指導することではない、というウェーバーの言葉は、今の日本の教育現場には最も重要な言葉ではないだろうかという感覚も受ける。

たとえ、自分とは異なる意見を持っている人物であっても、考え方の土台となる部分や考えるための訓練などは、イデオロギーを振りかざすことなくきちんと教育して、十分に育ってきた上で教育とは違う次元で意見を戦わせろというのが、ウェーバー流の教育の考え方のようだ。

教育指導要領に則り、自分で考えることよりも教えられたことで答えを出すという、受験勉強に力を注いでしまう日本の教育。
ウェーバーの言葉にもっと耳を傾け、教育現場の負担の軽減も含めた改革の団交というのが、必要不可欠のように思えた。

また、学問ということで言えば、「後から来る者に超えてもらうためにやる」というウェーバーの発言が、なんとも力強く、またはかなげにも思えた。
どんどん越えていってもらうために、今の自分たちが踏み台になる。自分たちが生み出した者を、後から来る優秀な人たちにさらに高みへ持って行ってもらうために、無駄なことをやる。
それが、学問として大事なことだとウェーバーは言っているように思えた。

自然科学や数学であろうと、文学や芸術であろうと、それを見たり感じた者に超えていってもらうために、無駄なことをやる。
それが学問ということならば、一見無駄だと思える存在というのも決して切り捨ててはいけないのだろうなという思いもしてくる。

ウェーバーの力強さと、心の問題

政治経済、あるいは教育や学問といった部分についての、ウェーバーの考えを見てきたものの、そこには奇も衒いもなく、正道を語っているような印象を受けた。それも、これ以上ない力強さで。

彼が言うことに難しいことはなく、難しいところがあるとすれば、その単純明快な力強い部分を実践に移せるかどうかということに尽きるような気もした。

政治と経済とは切り離せないし、政治と教育というのも切り離せない。そして、その内側にあるものは、個々人の倫理観や責任感、美学や信念といった哲学の問題、心の力に負うところが大きく、単純なことをブレずに貫くというのも鍛え抜いた心身があって初めてできることなんだろうなという思いも抱いた。

目の前にある大小様々な問題も、全ては心の問題。
もっともっと心身を鍛えて、先人たちに恥じない生き方をしようと思った。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.08.08

2018.04.30

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