『BQ 次代を生き抜く新しい能力』を読んでみた

2016.09.27

2012年12月末初版と一昔前の感がある書籍。図書館で見かけたために手に取ったという経緯もありますが、広報やこれからのビジネスを考える上では無視できない要素も書かれていたように感じたので、ささっと個人的な見解を多分に交えてまとめてみます。

この記事は 約 4 分で読めます。

,

著者林野 宏
版元プレジデント社

随所に感じられる、「西武百貨店愛」と筆者の「私すごいでしょ」

本書の要諦は後で語るとして、読んだ雑感を先に語っておくと、兎にも角にも「私の過去の経歴すごいでしょ」と「西武の堤清二さんはすごいんだよ」というのが若干気になりました。クレディセゾンの社長という肩書きを表紙に書いてしまうのも、正直如何なものかと思ってしまいます。

この手のビジネス書の説得力としては著者の経歴や実績が最優先だとは思いますが、それよりもいかに役立つ情報が書いてあるかが重要だと思います。事例集タイプの書籍はあまり評価したくない個人的な価値観が前提としてありますが、本書のような経験談が多数混じるものも、抽象度合いがあまり高くない感じがして、学ぶためのものとしては一段も二段もランクを下げたくなるのは、あくまでも私個人の価値観でしょう。

あまり卑下するばかりでも、読む側ももちろん著者も気分が良くないと思うので、摘んでおきたいセンテンスをいくつかピックアップしましょう。

BQ = IQ(論理的思考力や知識)x EQ(人間力? コミュニケーション力)X SQ(感性や直感力)

BQ(ビジネスの能力)は、上記の掛け算になるという。特にこれからの時代重要になるのは、最後のSQだというのが著者の主張。

このSQ、いわゆる「無用の用」や「教養」と呼ばれる領域のものであったり、アートやデザイン、若干スピリチュアルな領域、マインドふルネス的なところにも関わってくる項目のようです。主体的に周りの情報を取得し、それを用いてどう次の手を選ぶかを考えるきっかけになる力、というとガンダムで言うニュータイプっぽい感じもしてきますが、そういう力が広報やこれからのビジネスには重要視されるだろうと私も思っていますので、SQが重要になると言う主張には基本的に同意する立場です。

組織の外や社会、消費者の変化とどう付き合うのか。仮説思考で問題発見をするには不可欠の能力

広報という仕事をするには、コミュニケーション力も重要だと思いますが、それ以上に組織の外がどうなっているのか、発信した情報を受け取ってもらう相手、世間がどう変化しているのかを目だけでなく、耳や鼻、肌で感じ取るのがより重要だと思っています。

従来の市場調査やユーザー分析では見出せなかった、ビッグデータ系の領域を、人間の感性をフルに活用して判断する、次のアクションやアウトプットの表現を考える、再考するといった手間が有効な広報活動や、消費者に響く商品を提案するのに欠かせなくなってくるのではないかというのが、個人的な考え方です。

つまり、論理的なスペック勝負の商品や漏れのない論理的なニュースリリースをするだけではダメで、企業の理念や経営者の哲学が感じられる商品や、人間的な魅力を感じさせるエンターテインメント性のある広報活動をしていくことが、これからの時代には有効打になりうるのではないか(目下、検証中)ということです。

だからといって、IQやEQも低くていいとは言ってない

著者の提唱するBQが、掛け算になっているのはそれぞれの数値が高くなれば、掛け合わさった時に変化が大きく出るから。ということは、論理的な思考力やそもそもの常識的な知識が低ければ、BQは低くなりますし、人間的な理性や感情のコントロール力、コミュニケーション力が低くても、BQは低くなります。SQが十二分に高いだけでは、「アイディアだけでは価値がない」と言われてしまったり、「人間性に問題あり」と創業者なのに追放されることだってありえます。

知識や論理的な思考力を十分に高めつつ、人間的な収容やコミュニケーション力も高めつつ、教養や感性といったものも同時に高めていく。これらが高い次元で有している人間だけが、変化の激しい時代に生き残っていけるというのは、私も同意する考え方です。

しっかり外を見ながら、自分たちのことも伝えていく。外の変化を組織の中へフィードバックさせて素早く次の手を選ぶ。広報をしっかりやるということは、そういう機会をどんどん増やしていくことにもつながると思うので、SQ、教養や感性といったものをしっかり時間をかけて育んでいくというのが、優秀な広報担当へ至る一つの手段じゃないでしょうか。

SQのみならず、BQを高めていって、しっかりエンゲージメントできる広報力を身につけたいものですね。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.09.27

2018.04.30

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress