『花森安治「暮しの手帖」初代編集長 2016年 08月号』を読んでみて

2016.10.05

2ヶ月ほど前に「この人の話も読んでみて」とおすすめされた、花森安治氏を特集した雑誌。ようやく入手したので、読んでみた感想と、おすすめされた理由とを考えてみる。

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言葉というのは使い手次第

戦中は大政翼賛会の宣伝も担当したという話もある、花森安治氏。戦いを煽る立場も経験したからこそ、ペンの力で暮らしを守るために立ち上がり、戦いに向かわせないために戦った男。

「あたりまえの暮らし」に価値をもたらせば、それを失わせるような戦争は起こらない。「みんな同じ」に逆らうような、「一人一人違ってもいいんだ」とメッセージを発信していく。ハガキ一枚で人を戦地に送らせる時代を見てきたからこそ、言葉の力で戦わない、自由を守ろうとした個性的で人の機微をよく分かっていた人物。

「そういう人もいたんだ。参考になるよ」とばかりに、オススメしてくれたのは、自分の言葉や行動に、花森氏のような姿を見ていただけたからだろうか。

言葉というのは恐ろしい。暗示をかけることもできる、認知的なバイアスをかけて盲点を生み出すこともできる、人の気持ちを変えることもできるし、考えを奪うこともできるし、自由を奪うことも、命を奪うことすらできる。捉え方によっては、拳よりも刃物よりも銃よりも危険な代物なのに、きちんと考える人はあまりに少ないものでもある。

一見頼りなく思える言葉。その言葉を大事にし、信念を持って行動していけば、言葉の力で世の中を守ることも、人の自由を守ることもできる。それを示してくれている一人が、花森氏なんだということだろうか。

人とは違うからこそ、違うことを大事にする

いろんなものを知っていて、いろんなことを感じ取れて。いろんなものを表現できた人。デザインのセンスがない自分とは大違いの、永遠の編集者。その分、世間一般や大衆とは違う目で世の中を見て感じて、人を動かすこともできてしまう。

個性的で、人とは違うから、みんなが間違った方向に進んで行った時も、暴力の洪水が起こった時も、一人だけ立ち上がって、流れに逆らっていられる。しっかりと立ち続けて、残された人たちのために道を示せるのも、「人と違う」人に託されたこと?

自分も恐らく、「人とは違う人」。みんなと同じじゃなくて、要らぬ苦労もする割に、世の中が大変なことになった時にだけ、みんなが縋る存在になりえてしまう。ましてや、人の機微をつき、情報を整理して、言葉を操る力も多少持っているとするならば、その力を自覚して、きちんと扱っていかなければならない。そういったことも忘れてはいけないと思う。

一生作家。物語を生む者として生きて行く

編集者を自負した花森氏と違うのは、自分の自覚は編集者よりは作家に近いというところ。それでも、無から有を生むタイプではなく、そこにあるものを観察した上で新しいものを考えるという意味では、純然たる作家よりは編集者よりの作家と言えるかもしれない。

何を伝えて、何を伝えないか。何を見せて、何を隠すのか。どんな思いを持ち、大衆をどこへ導きたいのか。ここをきっちり考える。とことん丁寧に考える。それを忘れなければ、小さな小さな物語、自由を個性を守り抜く作家になって、言葉の力で世の中を変えていけるかもしれない。

時代を編集する。大衆の想いを紡いでしまう。その可能性、その危うさをしっかり認識しながら、すでに崩壊が始まっているように思える世の中を、少しでも良い方向に変えていければと思う。

託された期待に応えたい。自分のなすべき責任の重さも自覚する

素晴らしい偉人、先人も参考になると教えていただける。自分なりにもいろんな情報をインプットしてみる。目上の方々に目をかけていただいている。期待や想いを託していただけている。それを受け止められる自分であるというのを忘れないようにしつつ、受け取った分の責任もしっかり果たせるようにならなくてはという想いも抱く。

歩みは遅く、失敗も多く、騙されたりすることも多く。まだまだ未熟なままだけれども、ゆっくり一歩一歩歩んでいって、受け取った期待に全て答えつつ、自分が成し遂げたいこともやり遂げられるような自分になりたいと思う。

まだまだそんな器ではない。急がす焦らず、それでも素早く。自分自身を成長させていきたいと思った次第。大変学びの多い一冊となりました。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.10.05

2018.04.30

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