『いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ』を読んでみた

2016.10.18

「有効需要」と「イノベーション」とをもう一度確認しておこうと読んでみた本。そこから出てきた考えを、思いつくままにまとめてみました。

この記事は 約 4 分で読めます。

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著者吉川 洋
版元ダイヤモンド社

「いまこそ」といいつつ、2009年2月が初版。個人的な感覚では、ひと昔、ふた昔前のイメージ。ただ、それぐらいの年数で経済環境はそれほど大きく変わる訳ではなく、むしろ「成長の限界」について語られるようになったからこそ、有効になりそうな書籍のようにも思える。

「成長の限界」を嘆く前に、有効需要の創出をすべきではないか

リーマンショック直後に近い2009年からすれば、多少は景気は回復した。ただ、財政出動をしまくっていた当時に比べると、財政再建という名目による微妙な引き締めのおかげで、成長は鈍化したように思える。また、日本国内ではアベノミクスによる貨幣流通量は増えているものの、その資本自体はあまり有効に活用されていない気もする。

巨大企業の不正、あるいはタックスヘイブンによる合法的な租税回避も相まって、希望というのは見出しにくい気もしてくる。ただし、それで悲嘆にくれている余裕があるのなら、有効需要の創出にもっと力を注ぐべきではないのか。

先進国も、発展途上国も、ある程度インフラやものが行き届いて、「需要の飽和」を迎えていたり、開拓のフロンティアが喪失されたと嘆くばかりでは、成長はできやしない。「成長の限界」を民衆に刷り込み、格差の固定を狙う富裕層に一泡吹かせたいなら、本気で需要創出型のイノベーションに取り組まなければならないと思う。

シュンペーターのイノベーションは、「突然変異型」

以前と『同じような財・サービスが生産され続けているような経済は、たとえそこに成長があったとしてもシュンペーターは「発展」あるいは「進歩」とは言わない』(同書p.24より引用)。最近、やたらと取り上げられる「イノベーション」という言葉。ただ、身の回りで見かけるスタートアップやベンチャーと呼ばれる人たちのイノベーションは、果たしてシュンペーターがいうようなイノベーションなのかという疑問はある。

いわば、過去に存在した「信用度の高いもの」を加工して最適化したような、「定向進化」的なイノベーションが多いように思える。あるいは、「組み合わせの妙味」とそのつなぎ目をITで滑らかにしたような「接ぎ木」や「品種改良」も国内では多数見かけるけれども、本当にこれらは、「有効需要」を創出するようなイノベーションなのか。個人的には、そうは思えない。

シュンペーターが求めていたイノベーションで、ケインズのいう「需要の飽和」を解決するなら、もっと本質的に違う、異質なイノベーションでなければ、需要の創出にはつながらないように思える。つまり、「過去」や「信用」といった重力から解き放たれた、「未来から逆算した」ような、突然変異的なイノベーションでなければ、「成長の限界」をなんとかすることもできなければ、格差の上位にいる富裕層に対して振り向かせるようなこともできないのではないか。

富裕層に驚きを与えて叩き潰されるような、そのレベルのイノベーションでなければ、成長の限界を超えて、格差の是正、逆転を果たすことはできない。新しいものが生まれることに伴う「破壊」や「痛み」と「怖さ」のようなリスクも生まれなければ、質の違うイノベーションにはなりえない。そんなイノベーションを生み出さなければ、経済の横ばいは続くだろう。

最も有効なのは、世間へ投資すること

日本国内の場合、オリンピックはもちろんのこと、老朽化が進んでいるインフラを整備するだけでも十分だろうし、不要なハコモノを再編して、いいプロデューサーを連れてきてからのリプレイスでもある程度の成長は見込めると思う。

しかし、それをするためには「将来の不安」に備えて貯金をするよりも、「世間へ投資したほうがいい」というイメージをいろんな人に持ってもらうことが最優先のような気もする。無駄遣いは良くないけれども、経済成長することが一番の「将来の不安」に対する予防策。手元にお金を残しておくよりも、世間に与えてしまったほうが、リターンが大きくなると思うのだけれども、国民性的になかなか浸透しないような気もする。

いずれにせよ、「信用」を重視してリスクを取らないスタンスのままでは、国は滅びる。経済も破綻する。それだけは間違いなく、信用 = 過去や昨日を重視しすぎたお金の使い方をしていては、将来は明るくならないまま。是非とも世間に投資してもらって、自分の豊かさも向上するといったサイクルを、きちんと証明していければなとも思う今日この頃。

新しいものはいつでも信用が足りなくて、リスクが大きいものだけれども、国家や子供を守るためにも、どんどん投資をしてもらえれば幸いです。本当に。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2016.10.18

2018.04.30

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