文章修行 徒然(3)

2017.01.12

読んだり書いたりしながら、考えたり感じたりしたことを思うままに書いてみる第3段。

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先日不意に、「自分がやっているのは、物語で付加価値をつけて高く売るための、加工貿易だ」と思った。西宮神社へ十日戎に向かう電車の中で、ぼんやりと出てきた割には何度か反芻するうちに腑に落ちてきた。自らのルーツに関する妄想、自分のささやかな職歴、経歴に関する思考、最近の時流に関する私見、自分の強みや弱みなど。色んなものがグワッと混ざり合って、一つの答えに辿り着こうとしている感覚もある。

なぜ書くのか。なぜ、古典にまでさかのぼって学ぼうとするのか。なぜ、ただの著述家や書き手で満足したくないのか。なぜ、文学という部分にこだわるのか。それらは全て、「安く売る」のでもなく、「広く売る」のでもなく、自分で生み出した文章を売るのでもなく、数寄者や玄人に向けて、珍しいものや新しいものを高く買ってもらいたい、繰り返し買ってもらえるような関係を築いておきたいという志向があるからのようだ。

元々転勤族で、社会に出てからも、会社に属して勤務するような人にはなれず、自分が思うまま、自由気ままに行きたいところに行き、やりたいことをやりたいという性格があるように思う。おまけに、色んなものに興味があり、旅もしたいし本も読みたいし、学問もしたいし、フィールドワークもしたい。とことん、「人」というものを知りたい、追求したいという思いもある。

手に職をつけようとWebの構築を学び始めたものの、作る部分だけにコミットメントするには向いていないムラっ気のある凝り性。売れればなんだっていいという性分でもないし、臨機応変も不得手だ。激しく動き回りながら、コツコツと。でも、自分の時間もたっぷり欲しいから、少ない投資で効率よく利益を上げたい。できれば、顔を知っている人たちと利益を分け合って、末長く仲良くやりたい。そこから導き出した一つの答えが、今のスタイル。物語による加工貿易。

マギーブイヨンを売るために、「カレー」というソリューションもセットで提示してみたり、ホットケーキミックスを売るために、あえて卵を後から加えて作るという「UX」を用意してみたり。シェイカーの機械を売るために、マクドナルド兄弟のハンバーガーをセットで販売してみたり。コカコーラを売るために、「赤いサンタクロース」というイメージを刷り込んでみたり。水戸黄門も、古事記や日本書記といった神話も。

点在するそれぞれを線でつなぎ、線路を敷いて一つの流れを作り出す。要所要所で遊びや選択の自由を設けながらも、基本的にはシナリオを用意した人物のプロデュースを受け入れさせて、生み出された付加価値をブランドと認識させて薄利多売をしなくてもいい状況を作り出す。阪急電鉄の生みの親である小林一三や、名プロデューサー秋元康氏、あるいはスティーブ・ジョブズのやったことも、結局はこういうことなのだろうと、今は思う。

なぜ、書くのか。自分より富も名声も持っているであろう人物に向けて、その価値をしっかり伝えるために。なぜ、薄利多売を避けるのか。顔や背景を知った人に目一杯のおもてなしをして、失礼のないように一点物に近いこだわりの品を高く買ってもらった方が、効率がいいと思うから。

細部までこだわり、作ることに注力するクリエイターになってしまえば、利益に繋がりにくい細部まで拘ることになってしまうし、作ることでお金をもらうだけでは無教養な人のいいなりで、臨機応変を求められてしまうし、それで売れなければ代金は下げられる。どちらも、自分の性格的にもスキル的にも向いていることではないのだから、どちらも選ばなくていい領域を選ぶとなると、必然と今のスタイルに落ち着いていく?

「売る物」を用意してもらい、その前後に「尾頭」となる物語、流れを付け加えて物語(ソリューション、もしくは「メタな線路」)を用意する。用意した物語が破綻しないようにクオリティチェックさえしておけば、後は物語を縦に横にあるいは上下に広げていくだけ。そういう役回りを担い結果を返せるように、文章修行、文学に取り組もうとし始めたのだと、改めて肚に落としてみる。

ゲームのシナリオライター、プランナーやプロデューサーを目指したことも、法人電話の営業インターンを少しだけ経験したことも、作るスキルをわずかに備えたことも、全てひっくるめて今のスタイル。「作ること」にコミットするのではなく、「売ること」にコミットできるように(ブランドとしてのクオリティーを保つために「作る」のも「伝える」のも担ったり)、OJTも座学も両方取り組んでいきたいと思う今日この頃。そろそろ、結果を出さなくては……。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.01.12

2017.01.12

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