『危機を覆す情報分析 知の実戦講義「インテリジェンスとは何か」』を読みながら

2017.01.26

『私たちはどこから来て、どこへ行くのか』と同時期に読んで、終わらせていなかった書評をついでにやっておく。最近気になることも混ぜられればと思いつつ、思いつくままに書き散らしてみる。

この記事は 約 5 分で読めます。

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著者佐藤 優
版元角川書店

今の仕事に必要なことと、何をやっておいたほうが良さそうなのかを、つらつらとアウトプットしてみる。ネタのベースになるのは、上に掲げた書籍。「インテリジェンス」や「外交」に関しての基礎知識より、講義を書籍にまとめた書籍という感覚なので、「どう学ぶか」「何を学ぶか」に幅が取られている印象。

HP制作といいながら、実態は「外交」や「外商」をやっている気分

情報を再編集し、第三者に伝えて何がしかの利益を得る。その手数料や何らかの手間賃で食っていくという意味では、新聞屋や探偵稼業、あるいは情報工作員、諜報部員の仕事に似ている気がする。「作る」ところにあまり比重をかける気が起こらない質でもあり、伝わればそれでいい、伝わった後利益になるレベルであれば問題ないと思ってしまうあたり、生っ粋のクリエイターではない気もしている。

実際、今の顧客や顧客の候補者たちはどちらかというと、「作る」工程よりも「調べる」工程や「取材する」工程、「戦略を組み立てるために考える」工程のほうが工数が大きい。HPの発注に慣れている規模の企業さんではなかったり、あるいは慣れていても違う手法を求めている方が多いために、そもそもの「素材」や「仕様」がまとまっていなかったり、ずれていたりすることがままあるからだ。

そういう人たちの商材を、世間の潮流や目の前の人にどう伝えるのか。それをひたすら考えては情報を組み立てていく、伝わるように努力する、というのが今の仕事の全容に近い。

そういう意味では間違いなく、外交員や商社マンあるいは足で稼ぐ情報屋や探偵、ということになってくる。『007』のような派手なインテリジェンスオフィサーではなく、ジョン・ル・カレの小説に出てくる「ジョージ・スマイリー」のような、丹念に調査を積み重ねていくタイプの地味な諜報部員が、自分の実態に重なってくる。(そんなにカッコイイものではないけれども)

以前からスパイや、インテリジェンスオフィサーに関わる文献に興味があると思っていたけれども、自分の仕事そのものに、インテリジェンスオフィサーのような情報分析、諜報活動が欠かせないとなると参考にせざるを得ない。

インテリジェンスは、常に物語として出てくる

著者の佐藤優氏によれば、「インテリジェンス」は一連の出来事と出来事をつなぎ合わせて出てくるらしい。行間を読み取るような行為や、人の機微を理解していなければ、優秀なインテリジェンスオフィサーにはなれないようだ。つまり、最重要なのは、文学。教養レベルに高められた基礎知識もまた、重要になってくる。

先日まとめた「なぜ」に答えられる哲学や神学、神話と化した歴史も物語。もっともらしい権威をもたせた物語を紡げるかどうか。破綻のない物語で人知や人心をまとめ上げられるかが、為政者や宗教家には欠かせない要素になってくる。

また、グーテンベルグによって印刷業が発達してからは、世の中を動かしてきたのはイデオロギーの形をとった物語。ヒュームにしろ、ロックにしろ、あるいはルソー、ルターも。ヒトラーの演説も、物語がしっかりしていなければ効果は少なかっただろう。人を動かすには、陰謀論と言われようとも、物語が欠かせない。

そういう「物語」の輪郭をくみ取るためにも、やはり「書く力」とそれ以上に「読む力」や「読み取る力」が重要になってくる。

インテリジェンスをテクニックとアートに分けた時、通信や電磁波の傍受を使う「SIGINT(シギント)」がテクニック、人を介して情報を取得する「HUMINT(ヒューミント)」、開示情報から機密情報を探る「OSING(オシント)」は、アートに近い気がしている。

そして、その際より重要視されるのは、訓練すれば誰にでもできるテクニックの方ではなく、訓練しながら「書かれていないこと」も想像して組み立てるアートの力じゃないかと。HP制作の場合も、今の身近な顧客を考えれば、打ち合わせの「HUMINT」の前にどれだけ「OSINT」を重ねて、真に迫った仮説を組み立てられるか。いかにPDCAを早く回して、仮説をブラッシュアップできるかの方が重要な気がしている。

明文化されていない答えを見つけるために、「インテリジェンス」の力を磨く

ハッキリしていない勝利の方程式や、伝えたいコアのメッセージ。一人では見つけにくい答えを、壁打ち相手になって探ってみる。出てきた答えも考慮しながら、第三者への伝え方を調整していく。時に、人への伝わり方を加味してみたり、世間の変化や伝わり方の変化も考慮してみる。それを繰り返して、「伝える」ことや「売る」職責を果たしていく。

「書かれていること」と「書かれていないこと」を正確に理解し、情勢や個々の事情を切り分けて考えるためには、同じにしてもいいものと、そうでないものとを見極める能力が必要になってくる。読む力や教養を伸ばすことも重要ではあるが、高等教育にたどり着いていない、受験勉強的ではない基礎学力や基礎知識。ここをきっちり高めることも、改めて肝に銘じておきたいところ。

今後も「物語を書く力」や「物語を読む力」を武器にできるレベルにまで高めていって、力のあるインテリジェンスオフィサーとして、またそういうニュアンスも認められる「仮面ライター」というのを見せつけたいものである。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

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