『プペル』の炎上騒ぎを見て思うこと

2017.01.26

西野亮廣氏が主導し、幻冬舎が出版した絵本プロジェクト『えんとつ町のプペル』の炎上騒ぎをみながら、個人的に気になったことを邪推9割で勝手に書いてみる。名誉毀損をしてやろうとかいう意図はないので、お気を悪くされたらすみません。m(_ _)m

この記事は 約 7 分で読めます。

本件に関してのメインストリーム的な議論、問題点の指摘はいろんな方がされておられるので、個人的な推測を多分に交えて書き散らしてみる。

1.炎上させる必要はあったのか?

まず、本件を「炎上マーケティングか否か」という部分で言えば、個人的には「Yes」だと思う。

件のお子さんが本当にいらっしゃるのなら、ご家庭の教育方針を尋ねつつ、個別に対応して送ってあげるというのもできた気がする。で、その先のご家族から感謝のブログがこっそり上がってる、とか。お礼の手紙をいただきました、的な報告ブログで「いい人やな」というストーリーをでっち上げることもできたように思う。それから、「その子だけ特別扱いにはできないので、無料公開したいのですが」と断りを入れて、断行するストーリーも描けたな、と。

どんな行為であっても「先に言えば説明、後で言えば言い訳」だし、「2000円の絵本を買えない」のがそのご家庭のご事情や教育方針である可能性もあるし、今回の派生ケースでいじめられたりする子も出たりするだろうし、本件の炎上で傷ついていたりもするだろうから、やっぱり炎上させる必要はなかった気がする。そういう展開もあり得るんだ、という想像力や優しさみたいなものが足りない気もする。

炎上させずともそこそこ売上が上がってきたところに、「炎上マーケティング+フリーミアム」で達成した売上を持ってきて納得させている、ように見える。あるいは、鈍化してきた売上を伸ばすための仕掛けにも見える。これはやはり、褒められたやり方ではないと思う。

2.「チャレンジングだね」といっちゃう人がよく分からない

フリーミアムの世の中で、情報はどんどんタダになる。その流れの中、「クラウドファンディングで作った絵本を全部無料公開する」というのは新しい手法でいいね、とは個人的には思わない。やっていることの一つ一つは二番煎じ、三番煎じだし、「炎上マーケティング」は西野亮廣氏が得意としてきた手法にも思える。それをここでぶちかましてみたところで、「挑戦したね」とは思わない。

上で例え話に出したような「いい人に見せていこう」なステルスマーケティングの方が彼には難しい手法だっただろうし、そっちの方が手間がかかっただろう。それでも、短期間に数字を上げて、見込みやすい手法を選ぶとなると「炎上」の方だったんだろう。で、今もなお「燃やそう」と努力しているように思えてならない。

末端のクリエイターとしては、今やるべきことは逆の流れを起こすことだとも思っている。値段を下げるのではなく価値を上げて値段も上げる方向性。だから、『プペル』は高いままでも良かった。高いままの方がクリエイターにとってもいいことだろうし。薄利多売の方向は自分たちの首を絞めそうなのに、「すごいね」とか「売れるからいいじゃん」とか言っちゃう人がよく分からない。経済成長したいでしょ?

3.プロダクトとしては、「イマイチ」

無料公開の分を一読しただけで言うけれども、絵のクオリティはどのページも高いと思う。しかし、どのページもクオリティが高いというのは、果たして良いことなのかという疑問が1つ。また、大筋のストーリーも値段に見合ったものではないような気がするのが、疑問の2つめ。また、単価をコントロールしきれなかったというのも言えそうな気がするので、プロデューサーとしての手腕にも疑問が残る。

いろんなことを加味すると、今回の絵本は本来、商用ベースでは出版されえなかったものに思える。いろんな方面の水準を満たしていないのに、クラウドファンディングという手を使って世に出てしまった。そしてそれが無料公開されてしまった。フリーミアムにも巻き込まれそうになっている。このことが、今後の絵本や出版業界にどれだけの影響を及ぼすのか。よくよく考えなくてはならない部分な気がする。

4.この仕事には「愛」を感じない

安易に「炎上マーケティング」を選んでしまったように見えるし、絵本業界や出版業界、それ以外のクリエイターにも牙をむいたり、多方面に傷をつけてしまった感じもある。自分の仕事に誇りや愛を持っているのなら、本当にそんなことをしただろうか? 関わってくれた人や支えてくれる人、応援してくれる人や、絵本という文化を大事に思う心、本当の優しさや愛を持っているのなら、今回のような事案には至らなかった気がする。

どうにもこうにも、「想い」や「思想」よりも「売上」に比重がかかっていたように思える。それが悪いという気はないし、それを前に出してしまってもいいと思うのだけれども、そういう部分を変に隠したり、変な言い方をするのはどうなんだろうと。自分の仕事やプロダクトが好きじゃないのかな?

「大人の困ったちゃん」にありがちな、「本当の愛に飢えている人」や「過去に受けた傷を癒せていない人」が発症しがちな反応を繰り返しているようにも思えてしょうがないので、早めにカウンセリングなりを受けて、痛いことを言ってくれる人のことも受け入れられるようになっていただければと思う。突っぱね続けて成長できない、自分が絶対的に正しいと言い続けるようでは先は短い。

5.叩くなら、ブレーンを叩かなきゃいけない

本件を通して気になっているのは、表で目立っている西野亮廣氏を叩いているということ。(一部、幻冬舎などを叩く人もいるにいる)ただ、彼は恐らく神輿にすぎず、彼をちやほやする取り巻きや信者も含め、本当に悪い奴は見えないところに居てる気がする。目立たないところで全てをコントロールしている奴も、多分いる。
(言わなくてもいいだろうけども、叩く側にもサクラというか工作員は多数いるような……)

クラウドファンディングの全てが悪いとは言わないし、それ自身はすごく真っ当な仕組みだとは思うけれども、新しい仕組みができてくると悪いことをしてお金だけを稼ごうとする連中も毎回出てくる。一昔前で言えば、与沢翼氏とその取り巻きのような人たちだ。今回、その旗印に西野亮廣氏が選ばれてしまった気もする。

本当は、今回の売り上げもそのまま信じない方がいいとも思っている。どれだけ真水が入っているのかが分からない。本件で、「クラウドファンディングは儲かるんだ」と見せつけて、本格的に大金を回収しにくる流れも容易に想像できる。今後クリエイティブ関連は、どんどんクオリティに見合わないプロダクトがリリースされてもおかしくはない。その結果、業界全体がダメになるということもあり得る。(似たような例で言えば、「キュレーション等のWebメディア」とか?)

大きなお金を流し込む一つの候補として、現在進行形でクラウドファンディングが狙われている気もするので、気が付いたらサブプライムローン的なことが起こっていた、というのもあり得るのかな、と。

イエスマンしか取り巻きにいない状態、本当の忠告を聞き入れる体制や心を持たないままでは、遅かれ早かれ地獄を見せられてしまう気もするので、中心にいる人には早めに悟ってもらえればとも思う。

6.次回作が一番の難関

色々書き連ねてみたものの、結局は次にどうするか。次の作品で、真価を問わざるを得ない。でき得ることなら、今度は普通に商用ベースに乗るような、編集の厳しい壁を乗り越えて世に送り出す、という形を取っていただきたい。お子さんにも手に取っていただきたいのなら、そういう価格に収まるようなプロダクトとしてリリースしてもらいたい。

個人的には、彼の次回作を期待して、今後の展開を見守りたいと思う。

ネタにさせてもらいましたし、一応、Amazonの『えんとつ町のプペル』へのリンクも貼っておこう。
http://amzn.asia/haUzp54

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.01.26

2017.01.26

Loading...
Facebook Messenger for Wordpress