読み手と世間に対する「おもてなし」にこだわりたい

2017.05.15

「Web屋さん」、あるいは「制作業者」という同業他社の中で、自分はどういう立ち位置にいたいのかを改めて考えてみる。大事にしたいこと、こだわりたいことを拾い上げてみた。

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「上手く使える人」にも「上手く作れる人」にもなりたくない

『クライマーズ・ハイ』という小説がある。映画はもちろん、後にドラマにもなった横山秀夫の名作である。「日航ジャンボ機墜落事故」と事件現場になった御巣鷹山の地元にある新聞社、「北関東新聞」を巡る物語。主人公は、全権デスクに指名された編集者。

日々舞い込んでくる日航機事故の情報と、それ以外の情報、販売局を巡る話や広告にまつわる話題も出てくるのだけれども、ウェブサイトやSNSというツールを使ってコンテンツビジネスの端っこにいるものとして、興味深いシーンがいくつもある。

新聞社の利益としては大事な広告を削って、自分たちの記事を載せてしまうのだ。無断で広告を外して、広告部長とやり取りするシーンも。販売を優先するのか、広告を優先するのか、伝えることを優先するのか。色んな人間模様が描かれている、非常に考えさせられる物語だ。結局、主人公は「読者に伝えること」を優先して、動き始める。

広告がなければ、コンテンツビジネスはやっていけない。Webも大半はそうだろう。Googleも収益の大半は広告費だ。逃れられるものではない。ただ、「共同通信」や「時事通信」という配信元を抱え、それを並べ替えて末端の読者に届けるだけの「新聞紙屋さん」になるのも、ビジネスとしては正しいのだろうけど、伝える人としては同意しきれない。自分たちが伝えるべきこと、自分たちの存在意義も織り交ぜて読んでもらいたい「新聞」を作ってこそ、届けてこそのコンテンツビジネスなんじゃないか、とついつい熱い想いを抱いてしまう。

「Web屋さん」にも、色んなパターンがある

大きく分ければ、「使うのが上手い」タイプと「作るのが上手い」タイプの2種類。営業的な集客や情報拡散は上手いのだけれども、ウェブサイトや広告としてのクオリティはそこまで高くないものを作るのがこちらのタイプ。デザインセンスは優れていて、作り込んだシステムも提供できる、臨機応変に発注者の希望を叶えるのがこちらのタイプ。おおよそ、どちらかのタイプに振り分けられて、得意不得意と単価、担当する業種や地域でポジショニングが変わるというところでしょうか。

自分自身、どこにポジショニングするのか。どちらかといえば、「作るのが上手い」タイプの「制作物のクオリティにこだわる職人タイプ」だとは思うけれども、こちら一辺倒になる機もない。また一方で、「使うのが上手い」タイプになりきって、出来上がってくる制作物のクオリティを無視することもしたくない。

その理由はただ一つ。「読み手」を大事にしたいから。

「使うのが上手い」人は、読み手が受け取る感性を甘く見ているケースがある。あるいは、結果さえ出ればいいとクオリティを下げているケースもある。それで短期的に収益は上がるだろうけど、中長期的には飽きられていく。顧客の定着まではやれないケースを沢山見てきた。「作るのが上手い」人は、その制作物で本当に読み手が納得するのか、までは考えていないケースが多い。発注者の願望を叶えることを優先しすぎて、結局クオリティは高いのに、成果が出ないもの、あるいは時代遅れのものを作らされてしまう。

結局どちらも、自分の利益を上げることと発注者が満足するものを提供することから出ていない。そのため、読み手や受け取り手の満足というものを考えきれないまま、中途半端な仕事を返してしまっている。

仮面ライターとしては、どちらもしたくない。というか、どちらもできない。臨機応変も苦手、本質的に価値のないことをやるのも気が乗らない。また、お客様に貢献できないこともやらないので、中途半端なことは一つしない。「ウェブサイトの納品」、あるいは「作ること」自体は手段であって、ゴールではないと考えているし、作り出してから、成果が出せること、顧客が定着していくことをフォローするまでが自分の仕事であると考えているからだ。

つまり、お客様がお伝えしたいことをしっかり見極めながら、エンドユーザーさんに伝え切る。それも、相手のことをきちんと立てた上で、発注者の顔も潰さないどころか、その主張をきちんとお届けする。そこの満足度合いが仮面ライターにとって大事なポイントになっている。

発注者が満足するかどうか。作り手が満足するかどうかは問題じゃない。受け手やその受け手が所属している「世間」がどう思うか。満足を通り越して感動を覚えてもらえるかどうか。それだけを大事な基準と考えている。

「自分がどうか」を突き詰めて、最後まで伝え切る

「使うのが上手い」タイプは、世間の流行や上手くいった事例を追いかけて、上手に世間を渡っていきます。ただ、いつも短期的な売上を上げられても、次から次の渡っていくイメージがあり、中途半端な応用技だけが上手くなって、そのやり繰りで生き残っていく印象がある。

「作るのが上手い」タイプは、技術やデザインのトレンドを追いかけながら、発注者の希望に付き合うだけ付き合わされて、だんだん体力を消耗していくイメージがあります。こちらも、表面的な動きや表現は上手くなるのですが、振り回されて生きるイメージは尽きない。

どちらのタイプを選んでみても、軸は「他人」や「周りがどうか」。発注者のこともよくよく考えることなく、「臨機応変に対応してくれる」という綺麗な表現を頼りに、お互いに消耗していく進め方しか取れません。そういうことを、まだやりたいですか?

「目に見える分かり易いこと」や「短期的に利益が上がること」だけを見つめて、それだけを追いかけていくのは、もう十分じゃないですか? 誰かと同じ生き方をしたくなくて独立や起業をしただろうに、「やり方」や「伝え方」が誰かと同じで「中途半端」では生き残れないのが必然じゃないでしょうか?

幸か不幸か、仮面ライターは臨機応変ができません。「他人と同じ」はできません。

中途半端に出し惜しむこともできません。高い理想を実現するために、目に見えない無駄なことも沢山やります。それでも、「あなたが何者か」というものを、きちんと読み手に、あるいは読み手の向こうにいる「世間」に漏れなく伝え切ることを考えています。

「結果が出る」からと、流行りのものを導入することもしませんし、その一方で自分勝手な感性に頼ることもありません。伝統的なセオリーや現代的な常識なんかも常々刷新するように学び続けているつもりですし、「感動を覚える」レベルで伝え切るという一点を成し遂げるために、手段を選ばなくてもいいように日々修練しているつもりです。

それでも、まだまだそれぞれのクオリティやアウトプットが一定の水準に達していなかったり、予算に応じて手段を選ばずに成果を出せるとお約束できるほどの能力は身についていないので、まだまだあらゆるものを向上させていきたいとも考えています。

臨機応変に、周りに合わせて生きなくても、自分らしさを発揮して生きていけるように粉骨砕身する。また同時に、お客様の代理人として世間に失礼のないように、相手様や世間様に対する配慮、気配りも最大限に発揮する。全ては伝わるように。あるいは、伝えた後の世界が末永く続いていくように。

伝え切ることにこだわり、見えないものにもこだわる。理性だけでもなく、感性だけでもなく。人間臭さ、微細な違いにこだわり続けるWeb屋さんでありたいと思っています。

あなたの「らしさ」を伝え切るWeb屋さんをお探しであれば、ぜひ仮面ライターまでお声掛けください。真摯に対応させていただきます。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.05.15

2017.05.15

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