「コスト部門」でも「寄生」でもない、伝え方はないものか

2017.05.21

なんとなく正面切って営業活動をかけにくい。その理由を考えてみたら、幾つか問題が見えてきた。見えてきたキーワードに対して、思うままに書いてみる。

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「作るだけ」なら安い方がいい

どんな制作物を作るにしても、発注者の「(他で利益を上げるために)作って欲しい」というモノに応えるのが基本といえば基本。ホームページだけでなく、名刺やショップカードなんかも、インフラの一種として「持っておかないといけないから」というのに応えるケースもあると思う。いずれのケースも基本的には、安い方がいい。それから、「いつ発注をかけるか」については待つのが基本。どれだけ関係が深くても、コストだろうと思ってしまうから、正面切って「発注して」とは言い難い。

突発的な要望に対して、いかに安く、いかに短い時間で無理な要望に応えるのか。応えれば応えたで、よりいい条件の案件が回ってくるとは限らず、どんどん単価が下がっていく。相手も予算を削っていくので、応えられるクオリティも下がっていって、それを使って得られる効果もしぼんでいく。そうすると、このスパイラルからは抜けられない。お互いに息切れしていく一方になる。

どれだけ付加価値が付いていても、ただただ「作るだけ」や「提案するだけ」なら「コスト要因」のイメージから抜け出せないし、実質、コスト要因のままだろう。そうするとどうしても、「短く」「安く」が付いて回る。相手が悪いという話じゃなくて、これは自分が発注者に回っても同じだろうから、どうしようもない。

仮に「作る」というのを引き合いに出したけれども、ある程度業務や価格が決まっていて、カタチのないモノを提供するタイプのお仕事であれば、割とこのループにはまっているんじゃないでしょうか。例えば、成功報酬な業務がない士業さんとか、保険診療の開業医さんとかも、似ているんじゃないかと。

保険屋さんも多分、初手から売込みをかけにくいのはこの辺の事情もあるんじゃないかなぁ、と想像してみる。カタチのないモノを売る、設明がどうしても長くなる、即効性のあるものじゃなくて、効果が中長期的。機密保持もあって違いが見せにくかったり、役に立つかどうかはやってみないと分からない、とか。

Web業界だと、同業他社が散々焼き畑農業をして、「金はかかるけど効果は出ない」というイメージを植え付けていったり、「(悪質な)SEO業者」や「(悪質な)Web広告屋さん」、詐欺っぽい匂いやMLMっぽい匂いがする「(悪質な)情報商材屋さん」、それから「素人クリエイターさん」が業界のイメージとともに価格破壊を自分たちでしてくれたのもあって、胡散臭いというベールも払拭していかなきゃいけなくなってしまっている。

地方都市までその効能が浸透しているとは思えないのも厄介で、事前情報の部分で非常に部が悪いし、ほどほどに食指を動かしてもらえそうなレベルのお客さんは、ちょっとした雲の上にしかいない気がする。単価の問題で、キャズムがある感覚だ。

そんな中、相手に悪いだろうな、とかちょっと話を出しにくいなというのもあって、相手の話をある程度聞くまでは、ど直球な売込みはしにくいなと。個人の性格の問題、あるいは実績や自信の問題もあるだろうから一概には言えないけれども、「コスト部門」や「コスト要因」、あるいは利益を吸い上げるだけで貢献してくれない「寄生」とは一味違うんだと伝えられれば、様子は少しぐらい変わるんじゃないかと思うのだけれども、果たしてどうなのだろうか。

「消費」じゃなくて「投資」。「寄生」じゃなくて「共生」というのを伝えないとなぁ……

例えば、税理士さん。「消費」だと思えば、確定申告の時だけお願いして安いところにお願いすればおしまいだろう。「不快」や「不満」、「面倒臭い」を解消してくれる「業者」だと思われれば、そこから抜け出せない。けれども、「専門家」や「相談相手」と見なされればお金の出入りを見てもらいながら、中長期的な「体質改善」を手伝ってくれと言われるだろう。

お医者さんだって、本当にいざという時の「治療」だけを求められれば、単発的な診療や手術で終わってしまう。症状がひどくなるまで発見されなければ、一回で莫大な費用がかかることもあるだろう。その時、予算が足りなければ選べる選択肢は少なくなる。「消費」だと思っていればどうしてもそういう関わり方になってしまいそうだけれども、本当に賢い人は「予防」を選ぶ気がする。

定期的に検診してもらって、コストとリスクとを抑えながら、お医者さんを「業者」と見なさず「相談相手」と見なして関わっていく。そして、身体にも投資し続けるから、医療費は結果的に抑えられていく。貧乏人は逆を選びがち。

「消費」と考えれば「抑える」ことを考えるけれども、「投資」と思ってもらえればそれ相応の結果は返す責任はあるものの、「日々の積み重ね」の中で関係性を持つようにしてくれる。「業者」と軽く扱われるのではなく、「相談相手」として対等に扱ってもらえる気もする。(その分、責任は重いけれども)

Web屋さんだって、ただただ「ホームページ」や「Webサイト」、その他もろもろを作って納品する、だけが仕事じゃないはず。ビジネスに関わることもできるだろうし、販管費を下げるところに絡むことだってできるはず。お客様のリソースを最適化するために他の専門家と同じように頭や身体を使うことは不可能ではない。もちろん、相手が望むなら、だけれども。

そういうことができるよ、とひとまず示してみようか。ただの「コスト部門」ではなく、「投資」に価する専門家、信頼できる相談相手になりうるのだ、と。情報の伝わり方を内外に最適化していけば、間接的に利益を上げることは難しくないのだし。

「相談できる相手」を、手頃な価格でお試ししてもらう?

自分のことは自分では見えない。よほどの達人でない限り、定期的に自分の姿を他人に見てもらわないと正しいアウトプットができているかどうか、分からなくなる。

特に、満足に利益の上がっていない企業さん、個人さんであればあるほど、ワンマン社長が頑張ってしまって、動きが固まっていく。人の話を素直に聞けないし、一人で全部決めてしまいがち。決まった相手にしか相談しない。そうなると、新しい考え方を取り入れることができなくなってしまう。考えが固まってしまえば、ビジネスとしては死を避けられない。

そこで、「相談できる相手」を新しく持てるようにしてあげる。今までとは違う発想の「新しいアイディア」を取り入れてもらうようにする。突拍子もないアイディアではなく、実効性があるんだというのも示してあげる。大きなリスクもおかしすぎないで、小さく試せるようなものを提案していく。

その繰り返しで経営者が他人の話を(素直に)聞けるようになれば、多少なりとも状況が変わる気がする。凝り固まった考えを柔軟にしてもらえれば、個人も組織もちょっとずつ変えていけるとも思う。

そこを狙っていくには、高くない価格でお試しできるように考えていかないとなぁ。「作るだけ」でも結果が出ないとは言わないけども、かけたコストに見合うだけのリターンを早めに返すというのも考えていくと、バランスを考えた単価に見直さなくては……。

コスト部門、コスト要因でない専門家、相談相手としての見せ方、業務の見せ方、伝え方を丹念に探って実行に移していこう。ホームページを作るのは、あるいは仮面ライターに依頼するのは消費じゃなくて、投資なんだよ、というのを示していきたいなぁ。本当に。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.05.21

2017.05.21

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