「味気ない文章」を避けたいなら、五感や感情を刺戟してみる

2017.05.26

先日書いた「学習」の話から、「物語を求めるのは、シミュレーションしたいからだ」ということを思い出し、ついでに「じゃあ、どういう表現をすればいいのか」を考えてしまったので、適当に書いてみます。

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「単なる文章」より「物語」を求めている

人間は、学習能力に優れている。また、立体視と投擲という能力を進化の過程で得たため、「未来予測」という能力にも優れている。群れを作ってカロリーを安定的に確保しながら、種の保存を優位に進めるべく「共感」という能力も身につけた。

ただ、「突発的な状況」にはあまり向いていない。「脳」の処理能力を上げすぎれば、「生命の危機」に瀕するから。前例踏襲というエコノミーモードで脳を動かしたがる。ただそうなると、「前に経験したこと」や「経験から推測できること」を沢山持っておいた方が、「突発的な状況」に対応しやすくなる。そこで、生存競争に勝ち抜いてきた個体が残って、この手の学習能力に磨きがかかってきたのではないだろうか。

ま、その辺りの真偽は置いておいて、「物語」の意味を考えていくと、ほぼ100%「シミュレーション」ということになる。「面白い」かどうかは「たんぱく質」の近くにアミノ酸があるのと似たようなもので、「シミュレーション」の優位性が高いから、その前触れになる部分に「面白い」と感じさせる脳の仕組みが出来上がっている、のではないかと思う。(違うかもしれないけど)

「過去の経験したこと」が、自分の実体験である必要はない。他人の体験談でも、架空のシミュレーションでも構わない。それを手軽に取得する方法が「物語」ということになる。「単なる短期記憶」は忘れられやすいが、意味のある「エピソード記憶」が残りやすいのも、生存競争上必要になってくるから。将来、生き残るための「シミュレーション」を少しでも得ようとして、「物語」を選んでくれる。

物語性や流れのない文章が読みにくいのは、「生存競争に関わらない」から。自分の人生、あるいは将来に影響してくるかどうかを、無意識のうちに選り分けている。知的好奇心を満たすかどうかも、「生存競争として、優位に働くかどうか」がキーだろう。「この人の話を聞いてもしょうがない」と思うのは、「役に立たなかった」ことと紐付いていたりするから、とか。その辺りは、あくまでも個人的な推測だけれども。

ということは、どんな文章であっても物語にしなくてはいけないのか、というとそうでもない。ほんの少しだけ手を加えるだけで、味気ない文章も魅力が増すはずだ。仮面ライター流に思いつくポイントを幾つか紹介してみる。

文章を読む目的の一つが「シミュレーション」、「追体験」というのを忘れない

「指示書」や「報告書」のような、100%ビジネス文書では使えないものの、「ブログ」や「レポート」ぐらいでは有効になりそうなのが、この「シミュレーション」という意識。自分の体験をいくらか書くタイプの文章なら、「追体験してもらう」つもりで書くと、だいぶ書き方が変わってくるはず。それだけでも、多少の効果はあるだろう。

ただ、情報として読みたいのなら、そういう文献を読むはず。今更、研究機関に所属するわけでもない一個人が、貴重な発見を書くこともないだろうから、わざわざ書くのなら「個人の体験談」か「個人の考え」あたり。なぜその考えに至ったのか、どんな風にその体験をしたのかを、相手もシミュレーションしやすくなるように書いてみるというのはいかがだろうか。

ただのシミュレーションじゃ、つまらない。臨場感を足してみる

それでも「味気ない文章だ」と思ったのなら、そこに少しだけ臨場感を演出するような要素、場面を入れてみる。この時、大事なのは「視覚」情報だけに頼らないこと。その時の音、匂い、気温や湿度なども少し差し込んでみる。あるいは、その時に味わった感情の元になった出来事を書いてあげて、読み手もその感情を喚起するような文章にしてあげる。

気持ち悪いと思わせたければ、冷たさと暗さと水っぽい感じを織り交ぜればいいし、気持ちいいと思わせたければ、暖かさと明るさとスカッとした雰囲気を織り交ぜればいい。ただ、あんまり生っぽい表現は食べ物と同じで遠くまでは運べないので、ほどほどに水気をとった表現、遠くで読んでも、「その時の情景」を思い浮かべられるようなものの方がベター。内輪受けだけの文章、その時だけ通じる表現なんかは、省くべし。

ただ、匂いの情報や、色の情報なんかは結構使いやすい。具体的な「(匂いや色の元になった)ものの名前」を入れてもいい。読み手が「この場面はシミュレーションした」と後で思うことができれば、その文章は読んだ価値があるもの、ということになる。単なる体験談が、少し違う味わいを持つようになってくるし、何を選んでくるかも、ある意味その人の感性で変わってくるので、全く同じ文章にはなりにくいはず。

具体的な日付を入れるのも、一つ。映画でいう「天地人」の「天」や「地」、つまり時代や土地の情報を盛り込んでおくと読み手は情景をシミュレーションしやすい。単に記録のレポートを上げるのではなく、当時の日付や天候、時間帯も盛り込んでおくと読み手は追体験しやすくなって、登場人物や書き手に対して共感を抱きやすくなる、気がする。

また、腕に覚えがあれば読み手の感情を刺戟してみよう。怖がらせる、悲しませる。この二つは割と書き手がハンドリングしやすいので、「そのコンテンツの中で」、前振りになるものとその先の展開とをきちんと用意して、伏線を張っておけばいい。感情が動いた文章というのも、覚えておいてもらいやすい。

ただ、ここに来るまでに「語感」の問題や数ある表現の問題はクリアしておかないと使えない技法ではあるので、しっかり修行してもらえればと思う。もし、「やってみたいけど分からない」という方がいらっしゃれば、ぜひ仮面ライターまでご相談ください。

執筆者プロフィール

長谷川雄治(はせがわ・ゆうじ)

物書きな作れるWebコンサルタント。
HTML/CSSのマークアップやWordPressのカスタマイズ案件を経験し、サービス構築やブランディング、サイト設計や戦略プランニング、各種原稿、書類作成まで担う。
独自色の強いコンテンツマーケティングの人という立ち位置も見出だしつつあり、不足しているものを補うべく、日々実践中。

2017.05.26

2017.05.26

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